徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

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自動車学校の休憩時間を使って書いた駄文

白樺は紅葉を始めた。

西日に照らされて余計に黄色くなった葉っぱが、遮るもののない風にゆさゆさ揺られる。

並木道と言うには全く密度の足りない白樺の街路樹の中を、トラックやら乗用車やらトラクターが右へ左へ西へ東へと行きかう。

それを見下ろす場所に自動車学校の校舎があり、その通りの向こう側に教習場がある。

校舎は通りに面してガラス張りになっているため、車の行き交いはもちろん、スカスカの白樺の間から教習場も見られる。

つい一昨日までお世話になった教習場で走る車が途端に稚拙な運転に見えてしまうのは人の性だろう。としても、なんとちゃっちいものの考え方かと情けなくなる。

一歩引いて考えてみると、公道から見下ろされる位置に教習場があるというのはなかなか性格のよろしい構造ではないか。早く上手くなってこっちに来いよと。そんな運転してるからお前はまだ下なんだよと。そう言われている気もしなくもない。


北国の夕暮れは早い。日が傾き出したかと思うと、太陽は急転直下、1日の終わりを告げる。今は色付いて見える白樺も、後1時間もすれば黒々と色を変えるはずで、車もライトでしかその存在を気付いてもらえなくなる。

もう1日が終わるよって太陽が言っているのに、まだ運転を練習して、自動車に関する知識を得る必要はあるのだろうか。いやない。ない。


目の前の白樺からさらに目を遠くに向けると北見の街が若干見える。やはりヨーカ堂の看板が凄く目立つ。

ずっと夢を見て幸せだったな

僕はデイドリームビリーバー

彼女はクイーン

忌野清志郎が元々の歌詞をめためたにしてしまったが故の名曲の歌詞とメロディーは、傾き出した日差しと北見市という街にぴったりなような気がする。

僕らのたった二代三代上の先祖がこの街を切り拓いた頃はきっと、札幌になる可能性もあったはずなんだ。無数の屯田兵というデイドリームビリーバーの夢が詰まってるんだ。北海道には。

気を切って、森を拓いて、土地をならした子孫が僕らなら、整った街で、健康な日々があるならなんでもできるんじゃないか。ましてや運転なんて余裕じゃないか。


書き始めよりも木の影は伸びて、そろそろ無くなる。そして僕は長い影を踏みながらまた北見の街を駆け回る。

運転しながら北海道やご先祖さんに思いを馳せる余裕は、まだない。