冬って書くと、もうあの忌まわしい季節が想像されてしまう。着込めど着込めど寒い。特に北海道生活の大半をスポーツと共に過ごしてきてしまったがために、冬すなわち冬練でしかない。マイナス10度を下回る中でひたすら走る。誰が楽しくてやるかね。クラスメートの木村君は冬に野球しすぎて足の小指取れかかったというのに。イエス凍傷。
そんな冬から一歩離れ。
ふゆ
このひらがなの丸みたるや。冬のイメージとはまるっきり違う。非常に女性的である。冬が閻魔なら、ふゆは天使だ。ガブリエルだ。閻魔は僕たちから舌と体温を奪い去っていくけど、ガブリエルは優しさとぬくもりを与えてくれる。そう、僕たちはふゆから優しさとぬくもりを拝借して生きていたんだ。そうなんだ。
ついてこられる人だけついてきてください。
やっぱり世の中先入観にとらわれているところがあると思う。冬然り。
たとえばクリームブリュレとかのブリュレ。今となってはちょっと上品なデザートとしての地位を確固たるものにした感があるブリュレ。
だがしかしだ。
ブリュレって単語の響きは至極汚い。なんの予備知識もない人がプリンとブリュレの二つの単語を聴いて、同じジャンルに属する単語だと認識できるだろうか。否。できないはずだ。プリンはやっぱりチョコとかクッキーとかと同列に扱われるべきだし、ブリュレは人間のダークサイドに近い物事を指す単語群を髣髴とさせるものがある。
今後どこかでブリュレ食べるだろうから深く考えることはやめておくが。
ブリとかもね、不遇だよね。ハラスなんて名詞化したらハラスメントだからね、存在がアウトだぜ。美味いのに。
逆にピューリタンとかコサックとかは、全然関係ないのに食に適していそうな名前だと思う。
炙りコサックーイチジクのピューリタンソースを添えてー
とかね。川越シェフが今頃一生懸命作ってそうだよね。
やっぱ冬寒いわ。部屋の気温が駄々下がる夜、ふゆふゆな冬なんて訪れやしないんだ。