通称正やん
この人。
以前の記事でかぐや姫が云々フォークソングが云々と話した記憶がある。多分酔っぱらってた。
その記事の中にも出てきたはずのこの正やん。
平成生まれゆとりタルンタルン世代の我々のなかで、正やんを知るものはおそらくそう多くはない。
最近はももクロとコラボしたりして活躍の場を広げているみたいなんだけれど、彼の才能爆発期の歌を聴き込んでいる人に限ったら多くはないはずだ。
ちょっとした暇に任せて、正やんの何が魅力でどういいのか、主観と偏見の二輪駆動で徒然と書いていきたいと思う。
だれかの心に正やんの声が届くと嬉しい。
正やん
大分県出身、1951年生まれ。
高校の合唱部で南こうせつと出会ってかぐや姫の前身のバンドを結成する。
かぐや姫は知っている人多いでしょう。
かの有名な神田川。サムネでどアップになっているのが南こうせつ。この曲作ったのもこうせつ。
典型的なおばちゃんフェイスである。しかし歌が奇跡的にうまい。声の高さに嫉妬。
かぐや姫の説明はまぁ割愛します。興味ある人はwikiでも見てください。
かぐや姫で主に作曲をしていたのが南こうせつと正やん。フォークというとそれまで鬱々とした曲に鬱々とした歌詞が乗っかる鬱々とした歌が主流だったのだけれど、かぐや姫と拓郎が出始めたころから明るくなりだした。いわばニューフォークの旗頭がかぐや姫だった。らしい。
正やん大分出身なんだけれど、千葉工大に進学。上京してくるもかぐや姫を真剣にやりすぎるあまり三か月で中退。
スリリングな人生を送ってらっしゃいます。
かぐや姫は1975年に解散する。
その後かぐや姫の三人はそれぞれソロ活動へと転換していく。そこで 正やんは風っていうユニットを組む。
- アーティスト: 風
- 出版社/メーカー: NIPPON CROWN CO,.LTD.(CR)(M)
- 発売日: 2008/01/16
- メディア: CD
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
相方は猫ってバンドに所属していた大久保さん。名は知らない。
この時期、かぐや姫後期から風で活動していた時期が、正やんのとんでもないゴールデンエイジだと思ってる。
才能爆発エイジ。
風を解散して1980年からソロ活動に移るんだけれど、このころから正やんの歌い方がおかしくなる。明らかに。
喉を壊したかと言われているけれども真相はわからぬまま。
正やんの魅力
何を差し置いても声である。声。
一般的にはギターテクニックがすごいってことで通っていて、それも間違いはないんだ。めちゃくちゃうまい。アルペジオからボトルネックの使い方から、何から何までうまい。
それでも正やんの声、歌に惹かれる。
多分正やんより歌がうまい人は探せばたくさんいる。なんならこうせつの方が歌はうまいと思う。
だがしかし声。この声がいい。
カレンカーペンター、アートガーファンクルと並ぶ美声の持ち主だと信じている。スーザンボイル?茹でておけばいいんだそんなもの。
なごり雪はイルカに提供した正やんの曲です。
この高音の透明感とかね、たまらないでしょう。ボーカルのなんたるかなんて知ったこっちゃないが。
正やんの作る曲
この声に乗せて語られるのは大体が別れの歌である。正やんの曲で人気がある曲は八割方別れの歌だ。なごり雪然り。
その切ないことと言ったら。
ライン既読無視とかまぢありぇん的な最近の別れからは想像もつかないほどにピュアだ。
海岸通という歌がある。
あなたが船を選んだのは 私への思いやりだったのでしょうか
別れのテープは切れるものだと なぜ気づかなかったのでしょうか
港に沈む夕日がとても綺麗ですね あなたを乗せた船が小さくなってゆく
一番である。
別れのテープというところにまず何とも言えないノスタルジックを感じる。最後まで姿を見られるから船での旅立ちを決意した恋人像がなんとなく見える。それでも紙テープは出航と共に切れてしまう。テープがちぎれて、船が遠ざかっていく。けれどあなたへのさよならよりも何よりも、港に沈む夕日がとても綺麗で。
なんなんだこれは。切な死ぬ。
そしてこの歌詞の親切なところは、細かい設定がなされないところだと思う。どうとでも取れるし、誰とでも重ね合わせられる。説明が割と多いフォークソングの中では珍しいタイプの歌詞かもしれない。
正やんの名演。声の伸びが。
「海岸通り」 風 伊勢正三 ライブバージョン - YouTube
さらに正やんの代表曲22歳の別れ。
あなたにさよならって言えるのは今日だけ
明日になってまたあなたの温かい手に
触れたらきっと言えなくなってしまう そんな気がして
私には鏡に映ったあなたの姿を見つけられずに
私の目の前にあった幸せにすがりついてしまった
恋人がいるのに親からの見合い話に流され嫁いで行ってしまう女性の歌である。
まず、現代では受け入れがたいテーマであろうよ。説明してみて改めてびっくりしたこのテーマの重さ。
それを鏡に映ったあなたというフレーズで柔らかくしているのではないだろうか。気のせいか。
まだまだごまんと別れの歌があって、そのどれもが違う別れで。しかし別れの歌があるのに正やんの歌詞に直接さようならが出てくることはない。なごり雪で唯一、
君の唇がさようならと動くことが 怖くて下を向いていた
という歌詞があるけれど、さようならとは言っていない。言っていないけどさようならよりもさようならの切なさは際立つ。
つまり、あの手この手を使ってさようならを印象付けることをし続けているシンガーソングライターが正やんなのだ。
景色や心情を歌うことで、なんとなくどことなく寂しいような感じを抱かせる。抒情的な歌だ。
さよならと一緒に君の嫌いになりかたを教えてほしかったラッドウィンプスとはやはり根本的に何かが違うのだ。ラッドも好きだけどね。
その匂わせるだけで終わる感じが、押しつけがましくない正やんのいいところだ。
最後に
何が伝えたかったか。
正やんの声がいい。それだけです。
この澄んだ声の虜になる人が一人でも増えたらうれしいなぁ。