上部から順に
頭
転倒時。
逆エッジが入る等、実力不足がそのまま反映される転倒には付き物の痛み。帽子被ってるからといって、1月の硬い硬い雪の前では何も意味をなしません。
どうせみなさまが被る帽子はニットで編まれた北欧っぽい柄の可愛いやつとか、無地でスタイリッシュなそれだろう。
本気で頭部を守りたいのならメットを被りましょう。恥は掻き捨て。
脳
頭にたんこぶ的な痛みが走った時は、確実に脳も揺れている。即時ノックアウトされる場合もあれば、じわじわ来る場合もある。
今回体験したのは即時じわじわ来るタイプの痛みだった。頭痛の辛さを知った。
偏頭痛持ちの伯母が辛さの余りバファリンをオーバードーズしてさらなる体調不良の渦に巻き込まれているのだが、僕もバファリン欲しい。
口腔内
この辺りは盲点だろうが、舌を噛む。そしてほっぺの裏側を噛む。
すっ転んだ拍子に噛むのだが、頭をぶつけがてらほっぺを噛み締めた時の痛みたるや、シャーペンの書く方を間違って押しちゃった時くらいの痛みを伴う。
鋭い痛み、長引く効き目。ロキソニン欲しい。
首
散々滑った翌朝、起きた時点で絶望する部位ナンバーワン。
頭を強打する。すなわち首も振れる。瞬間的にスーパーヘッドバンキングを硬い地面に向かって行うのだ。むち打ち待ったなし。
熱が出たりすると気付くんだ
僕には体があるってこと
BUMP OF CHICKENの藤原基央も、不自由になった時に自由を知るみたいなことを熱心に語っているが、痛みを前にした時、僕らは普段どのように身体を使っていたかを知らされる。
寝ている状態から起き上がる時、どれだけ普段首を使っていたかを思い知らされた。
肩
転び方として、肩から突っ込む場合も十分想定される。想定っていうか、確実に突っ込む。
後述する、手・手首が痛んでどうしょうもない時、人は手を出さずに肩から突っ込む。両手に荷物を抱えたまま大転倒する様を思い浮かべてくれるといい。肩から突っ込まざるを得ないだろう。それである。
撲すること請け合い。
翌朝ご飯の時にコップを持つのさえしんどい。だって打撲だから。
胸・胸筋
転ぶと嫌でも起きなきゃならない。
自分の体分の重さを持ち上げるのは腕。では、腕のパワーの源はどこか。
そう、胸だ。
転ぶ度に自重を胸筋で押し上げる。やりたくもない腕立て伏せを退っ引きならない理由でやらされているのだ。
サモトラケのニケのポーズをとった時に最も痛む。ラジオ体操の深呼吸もそうだ。背の運動もそう。殺人ポーズ。
腕・二の腕
起き上がる時に使うシリーズ第二弾。
何しろ雪を押して起き上がるのである。指の先まで力は入る。握力を使っているのだから腕も疲れよう。
ボウリング後の疲労感と似ている。
二の腕は胸筋に比べると大したことない。しかし胸の痛みが強烈極まりないだけの話だ。二の腕単体でこれだけ痛んだら整骨院も視野に入れるだろう。
手首
危機に対する防衛本能として、まず手が出るのが人であり、動物だ。
例えば、殺人事件と断定する要因として、手の裂傷があるかどうかで判断する話は聞いたことあるだろう。争った形跡があるなしは、手の創傷でわかると。
スノーボードをしたかしていないかは、手首の痛みでわかる。そこら中の体の痛みに晒され続けるスノーボードというスポーツ。身体を守るために手が出まくる。真っ先にくたばる。
手首は開始当初常時捻挫状態である。嫌なら乗るな。乗るなら嫌がるな。
腹筋・腹斜筋(脇腹)
スノーボードにターンは欠かせない。ターンしないことにはどこまでもスピードが出て、人間弾丸になる。大義も名文も何もない、プライベートな特攻。そんなの嫌だ。
だからこそのターン。
その時必要なのが、タイミングと腹筋力だ。捻らなきゃいけないからね。
そもそも滑りながらバランスをとるスポーツである。バランス。今流行りの体幹が試される。バランスをとるスポーツは、すなわちお腹のあたりを酷使しなければできないスポーツだ。
翌朝起きた時に痛むのは言うまでもない。
臀部
しりもちをよくつくスポーツだ。
それも、
しりもちついちゃった〜テヘテヘ
なーんて可愛いしりもちのつき方ではない。
ヒップドロップと言わなければ語弊があるであろうほどのしりもち。ヨッシーもびっくり。
しかも斜面の上だ。ヒップドロップだけで痛いのに、さらに滑る。けつが裂ける。
おしりが割れちゃいそう〜テヘテヘ
なーんて可愛い分離ではない。
右ケツ左ケツ双方が磁石のS極同士になったかのような離れ方をして行く。痔の痛みを知れる。
安穏とバスに座っていられるのも行きの道だけだ。
股関節・腸腰筋
何に使ったんだろうか。
あぁ、ボードを引っ張り上げる時か。
雪に埋まったボードをコースに戻す時、とりあえず飛んでみようとする。
この行為が腸腰筋を痛めるのだ。
腸腰筋って何って人は自分で調べなさい。
股関節周りの筋肉に関しては、腹筋と共に、バランスとる筋界ではトップクラスの実力を兼ね備えるエリートだ。痛まないわけがない。
スノボの翌日、四股を踏んでみよう。手軽な自虐行為が可能だ。
膝
ここ十年で市民権を得たorzのポーズ。
この格好もスノーボードには付き物である。
もちろんゆっくりこのポーズを取らせてくれやしない。そんなこと板が許さない。トップスピードで斜面を格好しながらorz。膝から崩れるorz。
黙っててもニーが痛いのニー。
以上が現状痛む部位である。
途轍もない12重苦が押し寄せている。
白鳥が優雅に水面を滑っているかのように見えて、水面下では猛烈に足をバタバタさせているように、スノボの楽しみの裏には痛みの交響曲が鳴り響いている。作曲はベートーヴェン、指揮はカロヤン、演奏は我が身。
斜面を猛スピードで下っていくかのごとく、バイオリズムも下る。
それがスノボである。