今週のお題「人生に影響を与えた1冊」
本がどうかなってしまうくらいに読んだ本だ。
そもそもいきものが好きだった。獣医を志すとかそういうんじゃなかったけど、遠巻きにありえない生物の姿を眺めているのが好きだった。何度も言うけど、ナショナルジオグラフィックだったら定期購読できる。していい。
そんな私がだ、この本を嫌いになるはずがない。
造形美としてあってはならないほどにふざけた生物を面白おかしい文章を添えて紹介してくれている。生物はイラストだ。至極力の抜けた図鑑的な要素もある。
著者の早川いくを氏が何者か、僕は知らない。特に調べもしない。グーグルに打ち込んだら一発でヒットすること請け合いだが、なんか悔しいからしない。文章からして、早川氏は生物学者の側面というより物書き・エッセイストの側面が強く出ている気がする。文章の構築がうまい。力の抜けた文章を書く。
元来文章を書くことは好きだった。だが、文章は自分の気持ちがあまりにもストレートに映りすぎた。恥ずかしかった。小学5,6年の頃は、提出する作文をすべて話し言葉にして出していた。一生懸命生身をオブラートに包もうとしていた。
そこで、この本と出会うわけだ。「だ・である」調でも、表現の仕方でどこまでもひょうきんになることを教わった。テーマが好きだったこともあり、何の苦も無く、本がくたんくたんになるまで読めた。
この本に出会っていなかったら、面白おかしい文章の観念が良くも悪くも変わっていただろう。こんな言葉端捏ね繰り回すマンになっていなかったかもしれない。もっと端的に言いたいことを言える素敵な大人になれていたかもしれない。だったら惜しいことをした。
なんてことまで考えさせてくれる生物書です。有名だし、読みやすいし、買っても全然損しないので、微々たる散財欲求がむくむくと顔を出したときはぜひお手に取ってみてくださいな。