徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

最低気温が-20度を一週間連続記録した北見にある室内気温20度の実家リビング中央に据えられたこたつより愛をこめて

遅れてきた正月休みを過ごしております。思えば馬車馬の如く駆けた年末年始だった。馬車馬も整備された馬車道ではなくだな、農道あぜ道ドンと来いの不整備ロードである。ううん。走り甲斐があったと言うものだ。

 気がついたら北海道についていた。北見。あぁ故郷。

しかしねえ、寒い。一週間連続最低気温が20度を下回ったらしい。20度ってもちろんマイナスである。年末年始に駆け抜けたはずの農道とあぜ道は1メートル50センチの厚みを持った雪に覆い隠され、整備されているはずの市道、道道、国道が雪と氷でがたがたロードに変化している。冬虫夏草よろしく、冬注夏走である。

中学時代の友人とお約束の如く飲みに行ったのだが、極寒の地では待ち合わせる行為が自らの命を縮める行為となる。待ってらんないのだ。奪われる体温、震える下あご。本州に住んでいる諸君には分からないだろうが、下あごの振るえで熱量が賄えない場合、肺の近くの筋肉が震える感覚に襲われるのである。しゃっくりとは又違う痙攣。マイナス20度決死の待ち合わせ中は震えっぱなしだった。

こんな北国だからこそ、居酒屋は繁盛するのだろうと思う。吟味する余裕がないから、手当たり次第の来店が多くなる。取り敢えず喫茶店に入る要領で、どこでもいいから突っ込めドンドンだ。居酒屋はしご散財した。昨日1日で。

 

幸いにも室内は暖かく、実家にはこたつがあることも追い風となって居心地はいい。窓の外は生命を悉く奪い去る極寒が口をあけていると言うのに、シャツにジーパンでのんびりブログをしたためている。毛一本も生えないような文章をだらだら書いているし幸せったらない。雪かきなんてしないよ、寒いもの。

 

庭のななかまどと桜は、所謂雪の花を咲かせている。見方によってはビキニのようにも見える冬囲い一枚で、しばれる外気の中に佇んでいる。君達にとって北海道の冬はどうなんだ。長く感じるのだろうか。ぼくらに見えないようなところで、寒さに細胞を震わせているのだろうか。いの一番に冷えるであろう指先。彼らにとっての枝の先に、春は最初に訪れる。逞しくも儚げに佇む彼らを見ると、その先の春をどことなく想起する。

-20度を越えた先、皐月にもなればあらゆる花がいっせいに芽吹く百花繚乱の季節が来る。氷点下にはならない東京の、季節秩序に基づいた花のそれとは全く違う。きっと見ることのない春を窓の外に重ねる。

冬にして春を思う贅沢さったらない。それもこれも、あったかいこたつで生命の確証を得ているおかげである。命の危険の中で風情は感じないですからね。

あぁ、小腹空いたや。アイス食べよ。