徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

中島みゆき「地上の星」さくっと考える

 

風の中のすばる 砂の中の銀河

 

でお馴染みの地上の星。現在放送されているプロフェッショナルの前身番組的な存在。いやむしろ、ノンフィクション仕事人シリーズの草分け的な番組、プロジェクトXの主題歌として大ヒットした。

歌手はご存じ、中島みゆきである。

あざみ嬢のララバイから麦の唄まで、足掛け40年以上にわたってヒット曲をかっ飛ばし続けてきた国民的歌手であり、道産子の誇りでもある。

この間の帰省で、みゆきのダイジェスト番組をみた。相当前の番組だ。麦の唄制作秘話なんかをやっていたから、一年は前だろう。その番組の中で、黒部ダムの中から中継された紅白歌合戦の映像が取り上げられた。十数年も前なろうか、みゆき初の紅白である。当時は歌詞を間違えたことが話題に上がった、あの紅白。

歌ったのが、地上の星

十数年の時を経て、改めて地上の星を聴いて、痺れた。プロジェクトXが名もなきサラリーマンたちの挫折と栄光を取り上げた番組なら、名もなきサラリーマンたちのテーマソングが地上の星なわけで、世の中は名もなきサラリーマンで回っているからして、地上の星は世の中のテーマソングたりえる。ここまで思った。

 

地上の星でみゆきは何を伝えたかったか。考えた。

名だたるものを追って 輝くものを追って

人は氷ばかり掴む

この一節。この一節がサビ以外で唯一繰り返されている箇所であり、みゆきの何よりの主張だと思う。

名だたるものと輝くもの。これらは言ってしまえば名声と財だ。それを追って追って追い続けて、掴んだものが氷。溶けたら水の泡と消える氷。空を埋める星は氷でしかなく、実の利があるものは地上の星なのだと。だからこそ、つばめよ地上の星を教えてよと訊くのだ。溶けない、消えない星を。

世の中のサラリーマンはこれを聴いて、自分たちこそが地上の星であると思う。もしくは、自分たちこそが地上の星を知っていると思う。空虚に捉われず、夢も見ず、淡々と働く日々の中にこそ地上の星があると。

 

言ってしまえば、どんな精密機械も一個のネジがなければダメになってしまうということを壮大なオブラートにくるんでいるに過ぎない。アーティストのセンスというか、才能の見せどころはそういったところに凝縮されていくのだろうな。誰もが思うことを、誰も言わない言い方で歌う。サラリーマンの日々の苦労を、地上の星と呼ぶ。おいそれとできたことじゃない。

 

みゆき特番を見てから、また頻繁にみゆきを聴くようになった。また他の曲でも記事にしてみようと思う。

みゆきの事をみゆきと呼ぶのは、周りの大人がみゆきと呼んでいたからです。あしからず。