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徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

居候をさせている

居候をさせている。つい3日前から、明日まで。この春から大学生になろうとしている青年である。北海道から遥々上京し、大学の近くのアパートを借りるも契約が始まらず、しかし大学のガイダンスは始まるというどうしょうもない板挟みに手を差し伸べた救世主が僕でしたということだ。

ひとりっ子かつ寮暮らしを経験していない者として、1人の時間が少ないのは実は中々のストレスだったりする。反面、ひとりっ子かつ寮暮らしを経験していない者として、兄弟ような存在がいないのは実は中々のコンプレックスだったりする。

居候当人の父親と僕が、高校の顧問の兄弟子弟弟子の関係に当たる。同じ競技で同じくらい惜しいところまで行った2人である。記録では全く僕の方が分が悪いのだけれど、顧問の期待値では同じくらいだったと信じている。兄弟子氏にも非常にお世話になったので、この義理は返さねばとの義憤に駆られての居候快諾であった。

いざ暮らしてみると、やはり、頼られるのは心地よい。

昨日は入学式を控える彼にネクタイの締め方をレクチャーした。なんだろうかこの歯痒さは。たかだかネクタイを締め出して一年の若造が、ネクタイとはなんたるかを語るのだ。歯がゆい。こそばゆい。石原軍団とか言ってなに親分風吹かせてんだよ裕次郎って思ってたけど悪くないっすね裕次郎さん。若大将とか言ってなに親分風吹かせてんだよ加山雄三って思ってたけど悪くないっすよ弾厚作さん。


授業なにとればいいんすかー。

時間割ってどうやって作るんすかー。

サークルってどうなんすか…

部活はきついですか…?


自分の経験を踏まえながら木っ端のようなアドバイスを放り投げてあげる。本当に木っ端だとしても彼にとってはイカダになるかもしれない。オールになるやもしれない。

大学生特有のなんでもできる自由となんでもできる恐怖が、恐らくはヒシヒシジリジリと迫ってきているのだろう。これをよく初めて碁盤に向き合った時の心情に比喩するんだけれど誰も理解してくれない。

まぁいい。

どうか安心安全な庇護の中での自由を謳歌して欲しいと思う。地に足着いた自由がどれだけ貴重なことか、僕が本当にそれを理解するのはあと何年かしてからだろうが、社会人の若芽としてほんの少し知った顔が出来る。

彼の人生に幸あれ。


ただアコギとサイレントギターとベースとエレキを「こんなんどれも変わらんじゃないすか(笑)」って言ったのは2週間くらい許さない。