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徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

世界史・日本史における、忘れられない単語を振り返る-パート1の予定-

日本人として、人並みに日本語が好きである。母国語であるから、使い勝手もいいし、他言語と比べても負けず劣らず語感が良いと思っている。語呂について熱く語った記事があるので、よければどうぞ。

 

 

ktaroootnk.hatenablog.com

 

中等教育機関、高等学校。暗記が嫌いなわけでも得意なわけでもなかったが、日本史と世界史、どちらも学んだ。歴史の面白さの虜になるほどの熱はなかったが、半ば義務として、半ば興味に任せて、赤シートで一問一答の答えを隠しながら黙々と一人世界ふしぎ発見をしていた。

好きなわけでも苦手なわけでもない暗記をせっせかせっせか繰り返していくと、当然のごとくマンネリの波が押し寄せてくる。マンネるほど学んでなどいなかったと、振り返ってみて思うが、その時点ではマンネっていたのだから仕方ない。暗記のサハラ、赤シートのゴビをさまよう僕に、オアシスとして度々訪れたのが、世界史・日本史ならではの面白語感ワードであった。

世界史は当然ながら外国の歴史である。日本語で語られてはいるものの、外国で起こったことに対するエトセトラである。外国語を懸命にカタカナで綴った単語が持つ絶妙な面白さ。日本語の語感では決して現れない発音、口の動き。それでいて至極まともな内容だったりするものだからたまらない。10代も盛りのころに語感と内容に違和感を抱きまくったいくつかの言葉は、今も僕の心の書庫で燦然と輝いている。しかし残念なことに、言葉だけが鮮明であり、内容はすっぽ抜けているのだ。改めて、改めてステキ語呂ワードがどのような意味合いを持った言葉だったのかを、長続きするよう小出しにしながら復習したいと思う。本日はこの単語だ。


ウンキャルスケレッシ条約

 

語感

僕ら日本人は国民の特性として、「ウン」から始まる単語に過剰反応する気がある。なぜとは言わないが。国家規模でのサブリミナル効果だ。それを差し引いても、ウンキャルスケレッシの持つ語感の良さは群を抜いている。読んでみてほしい。声に出してほしい。ウンキャルスケレッシ。ウンキャルスケレッシ。下品さと軽快さを兼ね備えた絶妙な節回し。「スケレッシ」部分の醸し出す、そこはかとないいやらしさにも酔ってもらいたい。


歴史的背景

果たしてなにを決めた条約なのか。

19世紀。ロシア帝国が領土を広げようと躍起になっていた時代。時の皇帝ニコライ1世は、西へ南へと八面六臂縦横無尽に侵略を続けていた。当時のホットトピックとして、地中海の辺りを巡る領土問題があり、エジプト付近の北アフリカや東ヨーロッパの方でズブズブの陣取りゲームが繰り広げられていたという。西欧諸国もロシアもみんな地中海のあの辺りに狙い定めて、火花を散らしていた。

そんな時に起きたのが、ムハンマド・アリー率いるエジプト軍のシリア出兵。アリーさんはエジプトのすごい人である。スーパーエジプト人が欧州諸国の陣取りゲームに名乗りを上げ、試金石としてシリアをぶん取ろうとしたわけだ。そこに待ったをかけたのがオスマン帝国。一歩も引かない。オスマン。しかし当時のエジプトの活きのいいこと活きのいいこと。イギリスもボッコボコにするくらい強いスーパーエジプト人(1807年のロゼッタの戦いでイギリス軍を一掃している)は、オスマンを押し出し、シリアを確保したわけだ。

オスマンはボコボコにされながら随時イギリスにヘルプを出していたのだが、イギリスも同様にボコられた経験があるわけで、エジプトに嫌われたくない一心でオスマンヘルプをガン無視オスマンはヒクマンとなったわけだ。

忘れた頃にやってくるのがニコライ1世。領土取られて傷だらけのヒクマンと化したオスマンに甘い囁きをする。

「俺がさ、ロシア軍引き連れてさ、助っ人してやるからさ、お前んとこのボスポラス海峡ダーダネルス海峡にロシア軍艦を通す権利をよこせよ。」


これ!

この約束こそ、ウンキャルスケレッシ条約なのである。何を隠そう、約束を結んだ場所が現トルコのウンキャルスケレッシだったのであった。ウンキャルスケレッシとは地名だった。ウンキャルスケレッシに霞がちだが、ボスポラス海峡ダーダネルス海峡の語感も出色である。ちなみに両者は、地中海が黒海エーゲ海とつながる海峡のことだ。

オスマン帝国のバックに付くことで、ブイブイと領土を広げていく構えを見せていたロシア。それを嫌がるのがイギリスを筆頭とするヨーロッパ諸国。でもエジプトを敵に回したくないイギリス。各国を巻き込んだ陣取りゲームに一石を投じた条約こそ、ウンキャルスケレッシ条約だったのだ。


さて。

度々このような語感から歴史を断片的に学ぶ記事をあげようと思うが、調べだすとキリがなくなってしまうことがわかった。タフな記事。なんてタフな記事。

含蓄のある人間になるために、度々挑戦しようと思う。


もういちど読む山川世界史

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