徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

腐った玉ねぎを食べてやや7時間。腹痛が襲ってきている。

正式に言おう。

腐った玉ねぎの腐った皮の部分取り除いて加熱処理をバッチリしたお弁当の野菜炒めを食べてから7時間。腹痛が襲ってきている。お腹の違和感。唾が出る線の圧迫感。食堂の不快感。帰宅の電車内。ノアの方舟に乗り損ねた動物はこんな気持ちだったろうか。数多あるシチュエーションの中でもまずまずの追い込まれ方をしている。

病は気からというから、これはお腹が空いているだけで、お腹が空きすぎてアラート信号を鳴らしているに過ぎないのだと、ひたすらに言い聞かせる。そうだ、空腹、空腹。試しに水筒の中の水を飲むが、すっきりはしない。水の中に水彩絵の具を溶かしたかのような、モヤっとした感覚が胃の中に広がる。

 

ことの発端は今朝である。ぼくは毎朝弁当を作っている。節約である。二段弁当を持って行っているのだが、大体が1段目に肉野菜炒め、2段目にご飯。この組み合わせだ。

必ず入る野菜が玉ねぎである。北見出身のDNAが、玉ねぎを食えと叫ぶものだから、素直に玉ねぎを食す。

今日の玉ねぎの断面を見たとき、暗雲が立ち込めた。少し変色している層があったのだ。ぶよっとなって黒っぽくなった層。うーん、やめとこう。その層を取り除いた。しかし、余計なもったいない精神と加熱処理安全主義者の誇りが全部を捨てる判断をさせず、その他の層を使用する方針で調理をすることとなった。

実に美味しそうにできた野菜炒め。中華ダシをいれたその代物は、実際に美味しいのだ。味は。味は。

昼休み。ある玉ねぎのかけらを食べた時、不意に若干の酸っぱさを覚えた。おやおや。酸っぱい。酸味と朝の景色が脳内で結合する。あ!これは。これはマズイ。

トイレに走り、吐き出した。がしかし、酸っぱい箇所はそこだけだと信じ、空腹と節約精神にかまけてその他の弁当を全部食べたのだった。

 

それから、7時間。

微動だにしなければ体調不良なんてわからないが、少し動くと胃の辺りがねっとりと不快な揺れ方をする。そんな家路。

たかだか3個入り100円の玉ねぎだ。一個33円。33円の玉ねぎで、健康が、あわよくば命が危うくなるのが人なのだ。

邦ロックのアクモンこと、the miirazは歌う。

百円のカッターでなくなる命のお値段はいくらですか

いくらなのだろう。33円の玉ねぎで損なわれる健康のお値段は幾らなのだろう。よく、「プライスレス」なんて言葉を使うが、あれはお金に換えられないほど高いのではなく、お金にしたらものすごく安いのではなかろうか。シュガーレスが微糖のように。

つつがない明日を願う。