徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

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エアコンをいつ稼働するか案件

僕はかつてベネッセの人気教材、こどもチャレンジを購読していた。未就学児時代に、しまじろうやトリッピーと楽しく学んだ記憶がある。VHSのビデオデッキに突っ込み、愉快な体操をやったり、工作をしたりしていた。あの無邪気なひと時、後の大情報漏洩のことなぞ微塵も考えてはいなかった。だだ漏れベネッセ。

夢中になった教材の中に、色つきの粘土で遊ぼう!なるものがあった。カラー粘土。幼い頃の粘土といえば、もう触っているだけでヘブンリーな気持ちになれる代物だったが、それに色が付いているときた。輪にかけて興味をそそられた。

赤い粘土でタコを作ろう!白い粘土でクマを作ろう!混ぜてピンクの粘土にしてみよう!

僕は赤と白が混ざるとピンクになることをその時に知った気がする。たしか3歳。遅咲きの気づきだったろう。一心不乱に混ぜた。赤!白!ピンク!ピンク!ピンク!

ピンクの粘土がたくさんできた。と、同時に、赤と白の粘土がなくなった。僕は気がついた。混ぜたら戻らない。世の中には不可逆な性質を持つものがあると。思えばカルピスも原液と水を混ぜたら2度と現役にはならなかった。世界の真実に至った気がした。


さて、エアコンである。猛暑日になろうかとにわかに熱を帯びる東京で、まだつけずに粘っている。つけたらもう2度と戻れない。つけ続けるしかない。冷風に晒され、室外機からは地球さんに向けて桃色の息を吐き散らすスーパーアンチエコ行為に底なし沼のごとくズブズブと埋もれていく。

これも不可逆性のなせる業だろう。赤白ピンクの魔法のように、一夜でもエアコンと夜を共にしてしまうと離れられなくなってしまう。東京の残暑は長い。下手したら9月まで癒着し続けることとなる。

さぁ、猛暑日になったらしいここ東京で、今宵僕は試される。昼間の興奮と熱気は全く冷めやらぬ。高気圧が下降気流を生み、空気を重く重くのしかからせているのが手に取るように肌にまとわりつくようにわかる。

そろそろ年貢の納め時か、エアコンよ。エアコンを見つめる。ふと、冷蔵庫に目をやる。立ち上がる、冷凍室を開ける。

僕は保冷剤に手を伸ばした。