徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

ORANGERANGE「縁盤」感想 〜「ここにいるよ」に帰結していくベストアルバム〜

15周年記念ベストコラボアルバム、縁盤。

縁盤 (完全生産限定盤)

縁盤 (完全生産限定盤)

 

 

彼らの人気曲を縁のあるアーティスト達とコラボしたベスト盤。ファン必聴の一枚だ。

金欠を押して発売日にばっちり購入した。CD+過去5年間のライブ映像を厳選収録したDVD+ファンブック。充実の内容であった。ウォークマンを失くした今、家のコンポで毎朝毎晩聴くのがルーティンになっている。 

全く新しいアレンジで新録しているので、歌詞にしろ演奏にしろ真新しい気持ちで聴けた。変化が著しかった曲と、印象に残った曲をざっくばらんに紹介していきたい。

1.キリキリマイ 

彼らのデビュー曲である。ファンブック内でも、最も思い入れのある曲、外せない曲として紹介されていた。

一発撮り、いわゆるスタジオライブ形式で収録されたという本曲は、従来のキリキリマイより淡白な音像となっている。一音一音が立っている印象とともに、どこか音の空白を感じる。ギターを重ねていないがためかと思われる。

 

最近のライブでよく聞かれた、間奏のディストーションだらけのNAOTOのギターが音源化されたのは嬉しい。

  

2.walk on 

4曲目に収録されている。

市原隼人主演の映画チェケラッチョ主題歌だった曲である。原曲はふんだんにシンセ等の音が入ったバラードだが、よなは徹という三線奏者とのコラボレーションで、華麗にオキナワンミュージックへと出で立ちを変えた。 

サビのメロディが三線で流れるのだが、これが美しい。正直、歌詞のメッセージ性とかどうでもよくなるほど、綺麗なメロディーである。毒のないメロディも作れるNAOTOのソングライティング能力が、三線によってさらに引き立てられている。 

終盤にかけて音圧が高まっていくのも、バラードのお約束といえばお約束なのだが、素直に感情も高まる。

 

3.GOD69 

5曲目である。

3枚目のアルバム「ИATURAL」のリードトラックと言っても過言ではなかった曲。シングルカットはされていない。 

2枚目「musiQ」のヒット路線からはみ出しつつも、どうしても売れ線よりの曲を作っていた時期の彼らが作ったロックチューンである。その後メジャーを解約してインディーズに戻り、「orcd」や「spark」で好き勝手やった彼らが、改めて当時のGOD69を演奏したわけだ。 

注目はベースである。本曲はYOHとともにバックホーンのベーシストである岡峰氏が演奏している。主張の強いベースがオレンジレンジの楽曲に乗ることはあまり無かったので新鮮だった。

歌詞も若干の加筆がある。原曲ではRYOが歌う最後のバースを、おそらくYOHが歌っている。棒読みの圧力を感じた。 

あ、太鼓も鳴ってた

 

4.SUSHI食べたい 

全くの別曲に生まれ変わった一曲。コラボしたシュガーキャンペーンがどんなバンドか全く知らないのだが、衝撃的な改造であった。 

最近流行りのシティーポップになったSUSHI食べたいは、もはやSUSHIというローマ字表記では収まらないほどのおしゃれな代物に変貌を遂げている。原曲のくだらなさと意味のわからなさが、シュガーキャンペーンとの加筆修正によって曲の辻褄が合ってしまった。良し悪しである。

 

5.Иatural Pop 

ИATURAL」の本編最終曲。キャッチー極まりない良曲に、TOTAL FATのギター、kubotyのソロが加わった。曲全体としては大きな改変はないものの、決してギターをブイブイ弾くプレイヤーではないNAOTOじゃ絶対弾かないフレーズをぶち込んできた。もしもNAOTOにテクがあったら…というもしもボックスに答えてくれた良編曲である。

 

6.ここにいるよ

完全新曲である。 

ORANGE RANGEと数々のヒット曲を生み出してきたシライシ紗トリとの7年ぶりのタッグ。熱い。熱すぎる。ミクスチャーバンドとして、散々様々な音楽を奏でてきた彼らが、15周年記念アルバムの最後の曲で、ロックバラード作ったのであった。 

初期の頃のORANGE RANGEのアルバムには、落陽やミチシルベに始まり、yumekaze、Lightsと、必ず各アルバムには良メロのロックバラードが入っていたものであった。最近はテクノへの傾倒やらでその慣習がなくなりかけていたのだが、ここに来てこんなにもキャッチーな曲を用意できるのかと驚かされた。 

ORANGE RANGEは10周年の時、ORANGERANGE~10thAnniversary~なる、とんでもおふざけ曲を作って、それはそれで彼ららしいなと思ったものだが、今回はファンへの感謝を万感込めた歌詞であり、素直にいい歌だなぁと感じられた。

僕らは未来という今に 足跡をつけては消して思い出になっていく 

一等星 二等星 三等星 この道を照らせ

酸いも甘いも音楽界で味わってきて、音楽の傾向を様々変えてきた彼らだから、足跡をつけては消した過去や、三等星まで愛でる心の広さが備わったのだろう。

このアルバムの白眉であった。

 

つらつら書いてきたが、ファン還元音源としてはたまらない内容であった。果たして興味のない人間がORANGE RANGEを知るのに適したアルバムかといえば、疑ではある。しかしよく見知った人であれば、各曲各所のアレンジに悶えるだろう。違いない。 

今まで縁を重ねてきた人へ、ORANGE RANGEが贈る、縁盤。彼らの縁は、音楽界だけの縁ではなかった。

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