徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

湿度が守るもの

じめじめが生み出す齟齬は多い。洗濯物が乾かなかったり、息がしづらかったり、なにより蒸し暑いという万象がひれ伏す不快感をお届けしてくれる。だからぼくは心より東京の夏には毎度辟易している。カラッとサマーを知ってしまっているから、ジメッとサマーへの嫌悪がひどいのだ。

しかし、思い返してみれば、これまでひたすら喉を痛めつけていた風邪の類に引っかかりにくくなっている気もするのだ。代わりにお腹を痛めることが多くなっている。

やはり乾燥は喉に悪いらしい。四六時中ずっと水を口に含んでいることができれば、風邪をひくことはないだかなんとか。そう言われるとじめじめも悪くはない気がしてくる。でもジメジメした季節が来るたび、慣れるのに時間がかかるわけで、そういえば風邪ひいてないやって思い当たる頃には夏が終わっている。

そう、もう8月も終わりだ。真夏のピークはとうに去った。燃えさしの如き夏を啄む他、夏の謳歌は残されてはいない。どうせまたいつかは巡り会う夏だが、この夏は一回しかないわけで、もう少し夏できた気もすると反省しているうちに毎度終わって行ってしまう。

夏ばかり切ないのはなんでだ。不快感なら冬の寒さも不快なのに、なぜ夏ばかり切ないのか。

9月を迎えればなんとなくもう秋だ。喉元に突きつけられた秋を認め、夏を楽しむ。