徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

電車内勘ぐりランデブー

電車で空いている席を見つけ、座る。特に左右も確認せずに座る。左に男性、右に女性。左の男性はどことなく年配の雰囲気がある。視界の隅に入っている程度だが、スーツのダボダボ感、カバンの無骨さから、おそらく40代から50代だろう。しかし、右の女性。これはわからない。バッグは若っぽい。スマホを操作する指も滑らか。これは若いか?何より振りまく匂いが若い気がする。現在休業中元aikoフリークの友人がよく話していた、バニラの匂いのするタイニーな女の子的な香りがする。これは若い!

頭の中で、隣の女性像を構築する。ごくごく少ない視覚からの情報と、十分すぎる嗅覚からの情報を多角的に精査・統合して、たくましい想像力を膨らませる。どこからの帰りだろうか。こんな夜遅くに、これだけの香りを振りまいているのである。今日はなんの日だったのだろう。よく見たらスカートに少しだけシミがある。何かこぼしたのだろうか。夢中に話をしていたのだろうか。

顔が気になる。でも、振り向いたらきっと何見てんだよ的な目で見られる。それはできない。これからしばらく続く隣同士の家路に、それは負担が多すぎる。帰りがけに、帰りがけに見てみよう。一瞬だけ、ご尊顔を拝んでみよう。

悶々、悶々。

さぁ!下車だ!どんなお方ですか!若いでしょう。きっと、それだけのお香りと、ショートの茶髪をたゆたえたお顔は麗しいことなのでしょう!


目測とは恐ろしいもので、かすりもしない母親世代のおばさんにドキドキしていた。なんだったのか僕の20分は。何も知らずに母親が隣に座ったとして、僕は若い女性だと勘違いしてドキドキしてしまうのか。嫌だ。困る。辛い。

色欲滅するべし。ううむ。世の中はむずかしい。

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