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徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

最近の男性用小便器について思うところ

女性諸君は想像していただければそれでいいのだが、男性に産まれたものは生涯、公的な場所での排尿時には他人が至近距離にいる状況にある。用を足すなんていう究極のプライベートを、衝立のない場所で行う不自然さ。日々何事もなくこなしてはいるが、よくよく考えたら相当にリスキーな行為をしている気がするのである。

女性諸君は想像していただければそれでいいのだが、男性用小便器にもいくつか種類がある。究極に簡素な便器としては、よく古い運動公園のトイレに設置されているもので、水が流れる壁に向かって放つものがある。便器と呼ぶことすら躊躇われるあっけらかんな放尿施設。草むらの方がまだ好ましい気すらする。

よくある便器は以下である

 

 

 

この形、よく見る。今ある男性用小便器の8割程が、横から見たら「J」みたいな形をした小便器となっている。これまで通ったあらゆる学校の便器もこれだった。大概の商業施設、駅、公的な施設の便器も、これだ。

しかし、ここ最近、ニュータイプの便器が現れた。

 

www.toto.co.jp

リンクから飛んでいただきたい。

お分かりいただけるだろうか。横から見ると「/」みたいな形になっている。僕は、この変化に大いに戸惑っている。

 

旧来の「J」タイプの小便器のメリットとして、排尿の瞬間のあられもない姿がなんとなく「J」の影に隠れて見えにくくなる。わずか数十センチに隣接したところで互いに用を足しながらも、ほんの少しだけのプライベートが確保された気がするのだ。尿の跳ね返り等の不利益を全部無視して便器にべた付きになれば、物理的に全く他人から排尿の瞬間を見られないままミッションコンプリートが可能なのだ。

だが、「/」タイプは違う。「J」タイプにあったはずのブラインドがない。老若男が互いにランチャー発射の瞬間を認めあうこととなる。これは気まずいし、歓迎されたものではない。

見なきゃいいじゃんって、そりゃあ、見たくはない。でもどんなに目を背けたって、見つめることを拒んだって、周辺視野が待ったをかける。視界の端で、各々が各々の開放感に浸る瞬間が見えてしまう。真正面を向けばいいって?目をつぶればいいって?ずれたらどうするんだ。

確かに、「/」タイプの方がスタイリッシュでお洒落だ。インテリアにするのであれば、「J」タイプよりは「/」タイプの方が嬉しい。しかし一度立ち止まって考えると、便器だ。生活必需施設における、生活必需品である。誰がティッシュにスタイリッシュさを求めよう。求めてせいぜい安さと柔らかさくらいなものではないか。尚、便器おや。

ウォシュレットが普及したように、スマホが普及したように、しばらくしたら「/」タイプの便器がマジョリティになる未来が来るのだろうか。袖振りあっただけの他人が、無防備なお互いを曝け出し合うのが普通になるのだろうか。嫌だ。外のトイレに行くたび、「/」が口を開けて待っており、一個飛ばしで空いている小便器に収まっていくと両サイドの戦場がありありと見えてしまうなんて。勘弁である。「J」に含まれる上品さとほんの少しのプライベートが愛おしい。「J」便器には何とかして便器市場を勝ち残ってほしい。お洒落さを越えた奥ゆかしさが、「J」にはある。

そうだ、「J」とは、JAPANの「J」なのではないか。

侘び寂びのこころ、ここにあり。