徒然雑草

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BiSH ~僕が好きになった2組目のアイドルグループ~

BiSHなるアイドルグループが出てきている。たまたまYoutubeのおすすめ動画で出てきたのを聴いてから、むさぼるようにBiSHばっかり聴いている。BiSHと出会って3日ほど。BUMPを知った時以来の熱量で一人のアーティストを追いかけているかもしれない。

 

BiSHとは

 

BiSHは2016年10月現在、六人組のアイドルグループである。

www.bish.tokyo

アイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチ、モモコグミ・カンパニー、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dの六人で活動をしている。

BiSH誕生のいきさつとしては、プロデューサーの渡辺淳之介が2010年から2014年まで手がけていた「BiS」なるアイドルグループが大本にある。2014年に解散ライブを横浜アリーナで開催するという、とんでもない集客力を持ったアイドルグループであったBiS。渡辺氏の、もう一度BiSをイチからやってみたいという一途な思いから、BiSHのメンバーは集められた。

最初期は5人グループであり、その頃から在籍するのは、アイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチ、モモコグミ・カンパニーの三人。当時はユカコ・ラブ・デラックスとハグ・ミィというメンバーがいたのだが、ユカコ・ラブ・デラックスはCDデビュー直前の2015年3月に脱退。その後四人で活動した時期を経て、2015年8月からハシヤスメ・アツコとリンリンが加わる。しかし、順風満帆にメジャーデビューへの道を突き進んでいた2016年6月、家庭の事情でハグ・ミィが脱退。一瞬5人になるも、同年8月にアユニ・Dが加わり、現在の編成となっている。

 

楽曲はほぼ全てにおいて、松隈ケンタ氏により提供されている。松隈氏は渡辺氏と同じく、BiSのプロデュースをしており、引き続いての楽曲提供となる。ジャンルがどうとかで括りにくい、非常に多種多様なアプローチの楽曲を提供しており、ここ三日くらいの聞き込み程度でも人外の所業だと感じておるのだが、傾向としてはエモやメロコアやパンク、オルタナ的な要素が強いような感じを受ける。バンドサウンドはバンドサウンドできっちり録音しているようで、アイドルアイドルしていない楽曲が多い。「楽器を持たないパンクバンド」というコピーを2016年8月より使用しているが、その通りの楽曲群である。曲こそ松隈氏だが、こと歌詞となるとメンバーが書いているものも多い。どうやら各メンバーに曲に合わせて詞を書かせ、優秀作品を採用しているようである。結構シビアだ。そのため、脱退したメンバーの面影も楽曲に色濃く残っている。代表曲の「MONSTER」なんかはユカコ・ラブ・デラックスの作詞だ。BiSHが続いていく間は彼女の名前はずっとクレジットに残っていくのであろう。

 

商法は、BiSに類する。代表的なBiSの商法というのは、全裸でPVを撮る・握手会が興じてハグ会を行う・ライブハウスでスクール水着を着たままダイブする等、ギリギリとすれすれの狭間を狙い続けるそれである。ここ三日で調べたところでは、まだBiSHはそこまでの過激商法に出てはいないが、メンバーでタスキをつなぎながら2日で200キロマラソンを走破する・汚物にまみれながらPVを撮影する・やはりライブハウスでスクール水着を着たままダイブする等、ギリギリとすれすれの狭間にたゆたっている。渡辺氏の手腕である。

 

BiSHに対する所感

 

端的に曲が良いと感じたのが、ここまで聴きまくっている最大の理由だろう。「曲が良い」というのは、至極相対的な指標であり、「いい曲」ほどぼんやりした感想はない。何故BiSHが良いと感じたのかは、僕の大したことのない音楽遍歴を紐解く必要がある。中学生のころ、ELLEGARDENに陶酔した時期があった。合わせて、BUMP OF CHICKENRADWIMPSアジカンあたりも狂ったように聴いていた。2000年代後半に青春を送ったバンド好きな人間の最大公約数的な好みであろう。高校に進み、少しだけ音楽を聴く幅が広がる。10-FEETやHAWAIAN6のようなパンクやエモに寄っていく側面、THE BEATLESからOASISBlurと起源をさかのぼっていく側面、スピッツのようにJ-POPとなった曲を聴く側面。その中の一つに、アイドルがいた。AKB48が売上ももちろんだが、世論の圧倒的支持を得ていた2010年代黎明期、僕のアイドルはハロプロの「Buono!であった。解散してしまったBerryz工房」から嗣永桃子夏焼雅、今年の8月に、来年解散することが発表された℃-ute」から鈴木愛理が集まった、グループのボーダーを越えた3人からなるアイドルグループが「Buono!」だ。「Buono!」の特徴として、つんく♂がプロデュースしている曲が少ない点と、バンドサウンドが多かった点があげられる。ELLEGARDEN大好き、BUMP OF CHICKEN大好きな僕は、「バンド×アイドル」の組み合わせに心が震えたのであった。特にAKIRASTAR氏の作る曲はどれもキャッチーで好きだった。Buono!に関しては、アイドルとして捉えていなかった。一アーティストとして、曲を聴きこんでいた。だからコールとか、DVDとかには全く興味がなかったし、Buono!が発端で他のアイドルにハマることもなかった。ももクロこそちょっと聴いたが、その程度である。

ほんの少し広く、ほんの少し深く、いくつかの方向に聴きだした音楽の方向の中の一つにアイドルがあり、しっかり追った最初で最後のアイドルがBuono!であったわけだ。3日前までは。

BiSHで初めて聴いた曲が「オーケストラ」であった。 

文句なく、きちんとした曲であった。何一つカウンターを狙わない、ど真ん中ストレートのロックバラード。これを、アイドルが歌っていた。ウォークマンを失くしてからというもの、なんとなく空虚を抱き続けていた。バチィっと心にヒットする曲がなかった。毎朝走る習慣がつき、その間はiPhoneで曲を聴いているが、B’zとMiirazとマキシマムザホルモンしかiPhoneには入っていなかった。どれも悪くはなかったが、これってものがなかった。

それが、不意に聴いたおすすめ動画のBiSHがひっくり返した。僕が求めていたのは、ど真ん中のわかりやすいエモであり、メロであり、パンクであった。BiSHのオブラートに包まれた松隈氏の楽曲が、ちょうどぴったり来たのだ。

 

ついこの間朝の情報番組「ZIP」にも取り上げられたらしい。露骨に売れ出している。そこで語られていたのが、アイナ・ジ・エンドの声質である。

現在、リードボーカルを取っているのは主にアイナ・ジ・エンドとセントチヒロ・チッチである。共に歌が安定して上手いが、タイプは全く違う。松隈氏曰く、「牛丼で言えばアイナ・ジ・エンドが牛肉で、セントチヒロ・チッチが白米」だそうで、これはよく言い表していると思う。アイナ・ジ・エンドの声だが、ざくっと言うとハスキーだ。おそらく声に空気がたくさん含まれているのだろう。カサカサと乾いた空気質な声を持っている。唯一無二にほど近い、珍しい独特な声だ。対してのセントチヒロ・チッチが、本当に素直な声なのだ。毒のない、すっとした声である。正統派のロックサウンドには合う声だろう。両者が上手く調和しているのが、BiSHのいい所である。Buono!でも、声の太さが細い方から桃子、雅、愛理と、上手く調和されていた。彷彿とする。

その他のメンバーは、発展途上なのだろうと思う。歌唱力に関しては。なるほど、アイドルにハマる心理がわかってきた。技術の向上を見守るこの気持こそ、アイドルを見守る親心なのだな。どっぷり浸かりそうな気しかしない。

いいとして、歌唱力ではまだこれからのメンバーたちでも、上記のとおり歌詞を書いている。中でもモモコグミ・カンパニーなんかは非凡な言葉選びをしているように感じる。2枚目のアルバム「FAKE METAL JACKET」に収録されているデパーチャーズのサビ、

たかが運命なんてもんは

変えていける気がするんだ

たかが運命とはなかなか言えたもんじゃないだろう。中島みゆき「たかが愛」と謳いあげたことを想起しないではいられない。

 

今後の見守り体勢 

 

これまで、3枚のアルバムを世に送り出しているBiSH。松隈氏が楽曲を提供し続ける限り、音楽が向いている方向はそうそうブレないだろう。この先どんな曲をリリースするのか。リードボーカル以外の歌唱力がどのように向上していくのか。メンバーは今のままで活動していけるのか。興味は尽きない。

Buono!に次いで二組目の、精力をつぎ込むアイドルになりそうな予感がしている。すでに相当ぞっこんなところもある。今後の活動から目が離せない。

 

 

最後にいくつかおすすめの楽曲を紹介しようと思う。

BiSH‐星が瞬く夜に‐

 

www.youtube.com

BiSHの代表曲である。疾走感のあるバンドサウンドも、キャッチーなメロディーも、BiSHの音楽をよく現している。是非最初に聴いてほしい。

フェス等では、ひたすらに延々とどこまでもこの曲を繰り返す姿が諸フェスレポで見受けられた。 名実共に代表曲。

 

オーケストラ

 

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先述の、BiSHとの出会いの曲である。ストレートなロックバラードに乗った青くて酸っぱい歌詞が堪らない。ストレートストレートと言っても、時々ひねたコードが出てくるから、どストレートパンクにありがちな飽きがこない。

その手と手繋いで 笑いあった声 忘れはしないよ

こんなにも流してた涙も 語る声も オーケストラ

やがて訪れたよね さよならの声 忘れはしないよ

あんなにも近くにいたはずが 今では繋がりなんて あの空だけ

郷愁すらも感じるフレーズである。アイナ・ジ・エンド→セントチヒロ・チッチと繋がるサビがやはり両者の良さを相乗している。この野音の映像は必見。

 

OTNK

www.youtube.com

 

和楽器バンドや陰陽座的な和風ロック。上手く歌詞を乗っけている。

ストレートロックだけじゃないことを感じられるのではないかと思う。お金のかかっていなさそうなCGのPVにも注目。

 

ALL YOU NEED IS LOVE

 

www.youtube.com

ELLEGARDENにおける「MAKE A WISH」のような、マイルストーンソング。後半にぶち上がる。THE BEATLESにだだ被せる、堂々かつ恐れ多いタイトルであるが、彼女たちの率直な気持ちが聴ける。

アイドルソングにありがちな、聴いていて恥ずかしくなってしまうような歌詞が少ないのも一つの特徴だろう。昔いじめられていた子が多いらしく、そんな中で育った彼女たちの内省的な性格が功を奏しているのかもしれない。こんなあられもない感情吐露曲でも、ちゃんと気持ちを伝えながらも聴き手を恥ずかしくさせない技術が詰まっている。

 

 

まだまだたくさんある。まだまだあるのだが、上手いサイズに切り取られた動画が無かったので、割愛させていただく。本当に、キャッチーな曲が多いので、動画サイトにごろごろ転がっているLIVE動画でも聴いてみてほしい。TSUTAYAでCDでも借りてほしい。

 

 

 

勢いに任せて筆を執った。タイピングを走らせた。ここ3日間、僕がBiSHにどれだけ熱を上げたかがわかっていただけたかと思う。アイドルへの記事だというのに、全編にわたり容姿に対する言及がなかったのは、僕のアイドルの楽しみ方が容姿にあまり傾倒していないだけの話であり、容姿端麗な方々が集まっている。是非とも見てみてほしい。

以上、BiSHの記事でありました。校正も推敲もせずに、失礼します。身勝手な文章を読んでいただき、ありがとうございました。