徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

生きがいを見つけた夜

やりがいのある仕事。人生のハリとなる趣味。子供の存在。これら全て、一絡げに生きがいと呼べる。生きがいの中身は十人十色だが、その中身として、自己肯定感ないしは自己効力感なる感覚と生きがいにはとっても強い正の相関関係があることを、僕は卒論で学んだ。自分自身を認めること、他者から認められる(認められていると思う)こと。これらが生きがいを作り上げている。

さて、僕はここのところすごく生きていてよかったと思っている。生きがいに溢れている。日々が楽しい。

何故か。

近所に行きつけの居酒屋ができたのだ。それだけかとお思いだろうが、それだけだ。その他になんの理由もない。

楽器が自由に弾ける居酒屋だ。お客さんが歌いたい曲を言うと、客の中から楽器のできる人間が即興生バンドを組んで演奏をする。打ち合わせなしのぶっつけ本番での演奏である。

だいたい、ドラムとベースとギター一本で誰か歌ってもらうパターンが多い。インドア楽曲制作デイズのお陰で、ほんの少しだけギターとベースとキーボードを弾けるようになっていた僕は、大体どんな曲でもふらっと入ってちょろっとした演奏をすることができるようになっていた。

見ず知らずの誰かが不意に歌いたいと言った曲を弾いて、歌わせてくれてありがとうと言われる幸せ。ボーカルが走ったら追いつき、サビを繰り返すのなら付き合い続けるような微調整を、アイコンタクトでやっていく刺激。自己肯定と自己効力のナイアガラに打たれ、堪らない喜びを感じているのである。

例えばビートルズなんていう楽器弾ける人の最大公約数みたいなバンドを演奏する時なんかは、初めて合わせたのにバンド隊で恐ろしく息があったりする。それこそ歳も違うから生きてきた時代も違うし、初めてあった同士であったりする人間たちが、ただ、ビートルズという同じ教科書を持っていたからこそ息が合う。ひたすらに、ドーパミンが止まらなくなる。これまで1人音楽を聴いて弾いてきたのはこの瞬間の為だったんだと思える。

なんでもっと早くこういうコミュニティに参加しなかったのかとも思うし、今巡り会えてよかったとも思う。

複雑だが確実に、僕を今生かしている。

経済的には、殺されている。