徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

赤い節々

手荒れがひどくなってきた。冬である。冬が来た証拠である。

手荒れするようになったのはいつからだったろうか。小さい頃は全くなかった。去年は荒れていた気がする。高校生のころもなかったと思う。東京に出てきてからということか。

口内炎のように、気付いたら荒れている。予兆がなく、気が付いたらぴりぴりひりひりしている。何かいがらっぽいとか、鼻水が出るとか、風邪のように予兆があればいいのだが。予兆がないから、予防もできない。そもそも、ハンドクリームが好きではない。保湿を謳って、尿素を入れて、結果手をべたべたさせるのである。何を触るにもべたべたがこびりつくのが気持ち悪い。僕からしたらポテチ触った手でべたべたそこら中触っているのと同義なのである。いくら肌によかろうとも。

にしても、水仕事がてきめんに苦しくなる。洗い物に向かう時の気合の入れ方が、夏場のうるおい肌とは全く違う。こんなにも意気込んで食器を洗うやつがどこにいよう。毛羽立った肌に水が着弾する瞬間の息の飲み方は、健康診断で採決をするときのそれに似ている。ちょっとした痛みが確実にやってくる恐怖。ストレス。

まだアカギレやひび割れを経験したことはないのだが、この荒れ具合からするとおそらくそう遠くない未来、皮膚にクレパスができるのだろう。父の親指も冬場になると深いひび割れが刻まれていた。母はそもそも肌が弱い。血が、肌を荒れさせている。素直に保湿に躍起になるべきなのだろうか。べたべたを忌み嫌っている場合ではないのかもしれない。