徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

転んだ奴じゃないと転ばぬ先の杖なんて言葉は出てこない

痛いことばかりである。世の中。傷だらけ血まみれになって、かさぶたを何度も剥がしてはタコになる。痛みに慣れた頃に痛みを忘れる。

誰しもが転びたくはなくて、誰しもが痛い思いはしたくない。だけど初めて通る道だと、何が凸凹なのか全くわからない。注意深く歩いていても足を置いたところが不意にヘコんでいるのが常だ。転びまくる。

タコができたやつが老婆心ながらに杖を用意してくる。転んだことのないこちらからしたらありがたみをわからないし、なんならちょっと邪魔に感じる。そして杖をかなぐり捨てて走り出して二歩くらいで大転倒をかます。そういう奴が後悔先に立たずとかいってる。愚かなのかと。そうです、愚かなのです。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。宰相ビスマルクの御言葉。よく言ったものである。さも自分が賢者で歴史に学んでますとでも言いたげだ。転ばないままに痛みを察して杖を用意する人間だったのだろう。彼は。人間出来すぎじゃあないか。そんなことできたらほとんど未来人と変わらないじゃないか。

一方通行の道を目下駆けている。せめてなんで転んでどこが痛いのかくらいははっきりさせておきたい。愚者が出来る精一杯の努力だ。