徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

32歳と人妻と。

昨日飲み会があった。最近連戦転戦の嵐だったので体内にアルコールの毒素的な何かが蓄えられている気がしているが、そんなことはどうでもよくての話。

飲み会までの時間、待ち合わせの場所付近でふらついていた。いよいよ手持ち無沙汰になったので適当に本を買ってスタバに入った。ご存知、カフェである。キャラメルマキアートがどうしても美味しいとGoogleがいうので、これみよがしにキャラメルマキアートを買い、本を片手に着席した。なんともオシャレな空間を作り出せている気にもなる。少し鼻の穴を膨らませながら読書をした。

そこそこに雑然とした店内。ごちゃごちゃとした音の海は塊となって耳に押し寄せるのだけれど、隣の大学生女子2名のお話が何故だかはっきりと僕の耳に届いてきた。読書のバリヤーを突破したその声に、気付けば神経を研ぎ澄ましていた。因むとこういった現象をカクテルパーティー効果という。よく知られているだろうが。

好きな男性のタイプの話をしていた。えらい盛り上がっているようである。上半身を前後に揺すりながら2人で笑う姿は心より微笑ましく、この瞬間のためにスタバは存在しているのではないかと錯覚するほどであった。

唐突に片方が叫んだ。

私、32歳がいい!32歳最高!

どうやら32歳の男性と波乱を起こしたいらしい。しかし遠くから話を聞いていると具体的32歳像は全くなく、彼女の観念上の32歳に彼女は陶酔しているようであった。32歳のどこがいいのか、何が魅力なのか、聞き逃したのか話していなかったのか込み入った所までは伺えなかった。

32歳は理解できないとしても、観念に恋し惚れる気持ちはわからないでもない。

例えば人妻。

考えてみればそこら中人妻だらけである。余りに跋扈しているものだから気がつかないのだが、恐ろしい数の人妻が存在している。しかしこの人妻。人妻の字面。抽象的で観念的な人妻を想起すれば想起するほどそれはエロに近づいていく。

人妻がいい!人妻最高!

とかって叫びだしたくなる気持ちもわからんでもないが、具体的人妻を考えるとエロさは吹き飛んでしまう。

例えばカモシカ

さぞすらっとしたガゼルのような動物なのだろう。これまで世の中を彩ったアイドルたちはこぞってカモシカのような足だと比喩されていた。うん、そうに違いない。っつって、カモシカなんてこんな動物である。

ズングリムックリーズの一員に過ぎない。

スタバの彼女にとっての32歳は僕らにとっての人妻やカモシカと同じなのだ。イスラム教徒にとってのムハンマドにも似ているかもしれない。具体的な32歳を前に、彼女はそれでもなお32歳最高!と言えるだろうか。

偶像崇拝から離れた理想の世界は、いつまでたっても桃色なのだ。

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