徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

薄暮

朝と昼の境目はいつなのだろうか。10時はまだ朝。11時だと昼な気がする。10時半はどうだろう。

朝焼けと夕暮れ。

暗から明になる境と、明から暗になる境はとてもわかりやすくドラマチックだ。真っ暗闇の漆黒がじわじわと綻んで、薄墨の色になってきたと思ったら遠くの空にオレンジが差す。黒は紺になり、オレンジと溶け合って青に変わる。毎日当たり前のように天体は動くため、当たり前のように境を迎えていく。

久々に残業がなく、早くに上がることができた。空はまだ薄明かりを灯していた。

電車に乗り、小一時間の帰路に着く。発車してすぐ高架になり、街を舐めるように弧を描きながら走る。薄暮の空と明かりの灯り出した街。明暗が混ざり合う美しさを改めて感じた。

この間仕事で鎌倉の少し奥の方に行った。そこは人工と自然とがうまく調和していて、人の手によって全てを手なづけた気でいる都会とは全く違う環境であった。土の上で走り、原っぱの上でストレッチをし、雪の上に這いつくばった現役時代、自然はすぐそこにあった。夕暮れも朝焼けも走って迎えた。

今や、薄明かりを綺麗だと思うほどに僕は都会の人になっているようである。知らぬ間に。嬉しくもあり、切なくもある。

思えば蟻も最近見ていない。元気にしているだろうか。