徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

合コンに行ってきます

合コンであるらしいそれに参加することとなった。今からおよそ1時間後の話である。

合コン。出会いの場だという。図書館にて同じ本を不意に手に取った美男美女が恋に落ちていく物語は、とても現実に起きはしない。曲がり角でぶつかった男女が実は同じ職場だったり、行きつけのバーに新入りで入ってきたバーテンと恋に落ちたり。大概全て夢物語である。

奇跡の出会いを封じられた僕たちはどうするかというと、懇々とコンコンしまくる。お見合いであり、コンパであり、合コンであり、街コンである。初めましての男女。友達の友達同士が友達になり、あわよくば一歩先んじた関係を築く。そうなればいいと男性側も女性側も考えていて、どんな人が出てくるのか課金ガチャのような気持ちを温めている。

この剥き出しの出会い欲。震えがくる。

恋人と人前で手を繋ぐのが苦手だ。あれは即ち公衆の面前にて「私たちカップルです!付き合っています!」と大声よりも雄弁に語っているのと同義であり、そんなもの自分たちの中に密かにとっておけばいい話だろう。何を顕示したくて手を繋ぐのか。誰に見て欲しいのか。その割J-POP界隈の歌詞では男女が手を繋ぎまくるので、手を繋ぐのがマジョリティらしい。恥ずかしくないのか。

まぁこのように、僕は、自らの状況というか欲というか、そういうのを行動に起こすのが非常に難しいタチを抱えて生きている。合コンも同じだ。出会いたいです!出会わせてください!ひり出したシャウト。しかし、片一方では夢物語が現実にならない事を知っている。出会いに行かねば出会いはないこともわかっている。羞恥と欲望の板挟みに捻じ切れそうになりながら、友達に誘われたからっていう最も汚い理由を掲げて僕は合コンに繰り出す。恥も外聞もかなぐり捨てて、前がかりになり、声を枯らす。

冷たい、雨の中。