徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

東京駅、京葉線、地下通路

都心に張り巡らされた電車網。私鉄とJRが入り乱れた超複雑な組紐が展開されている。

山手線のように4番サード的立ち位置の路線もあれば、世田谷線のようなローカル局の町歩き番組にこそ映える路線もある。みんな違って、みんないい。

そんな東京でひときわ異彩を放つ路線が、京葉線である。

東京と千葉を結ぶから、京葉線。わかりやすいネーミングだが、東京ー千葉間には総武線や総武快速線、東西線という怪物路線が強大なパイプを引いており、京葉線に大きな存在感があるかといえば、そこまでではない。

がしかし、おそらく大多数の国民がこの京葉線の世話になっていると思われる。

舞浜駅、ディズニーランドの存在だ。

京葉線は東京と千葉を結ぶパイプの役割以上に、東京駅とディズニーランドを結ぶ路線としての役割が大きい。武蔵野線と京葉線が交錯している舞浜駅だが、東京駅と接続されている京葉線はやはり無類の強さを誇っている。圧倒的使用率。

この、ディズニーランド輸送というワンポイントで利用されがちという特徴以外にも、京葉線が異彩をぬらつかせる要因がある。

それが、立地だ。

新宿、渋谷、池袋と沢山のモンスターステーションが存在する東京ではあるが、その殆どにおいて、JR線はある程度固まって配置されている。路線同士の乗り換えをスムーズにさせるための措置だろう。

しかし、東京駅における京葉線の立地は法則を全く無視する。

めっちゃ歩く。超遠い。

歩く歩道に次ぐ歩く歩道。エスカレーターに次ぐエスカレーター。ほぼ別の駅に向かう規模の大移動をしなければならない。

来たるディズニーにワクワクドキドキしながら脳みそストップ状態で歩む人人人。夢への行軍。京葉線が遠いことなんて頭の片隅にも無い。一心不乱に歩みを進める。

夢につながる廻廊を彩るのが、所狭しと並んだ広告達。

廻廊を歩く人々は、間も無く訪れる至福の時間を脳裏に浮かべているものだから、どれほど広告に目を向けているのか知れない。

しかし、広告達は輝く。したたかに輝き放つ。


千葉、千葉、千葉。

これから千葉に行くよね!だから、千葉の魅力を教えてあげるよ!

京葉線に乗ろうとするあなたに、千葉の耳寄り情報を教えちゃう!

ディズニーランドを目指す浮かれポンチな行軍を他所に、ど真面目極まりなく千葉のPRを続ける広告達の群れ。夢と現実の錯綜に、心を乱される。 

京葉線。

半分は東京だが、半分は千葉。

総武線や東西線では表されなかった、「葉」の文字。千葉県民のアイデンティティを標榜した路線だからこそ、千葉千葉しい廻廊を用意したのかもしれない。


初めて聞くようなお祭りやレジャー施設がさりげなく僕らの目を奪う。東京ディズニーランドがたとえ千葉にあろうとも、ディズニーに頼らずに生きていく覚悟が、京葉線にはあるのだ。

男気を、京葉線に見た。