徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

「チーン」「五階です。」

会社のエレベーターに乗り、何の気なしに点滅する表示を眺める。

 

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うちの建物の構造上、五階によく止まる。理由はさておき、五階での停止率は圧倒的に高いのである。

エレベーターが機械的に告げる。

「チーン」「五階です。」

これを聞くたび、僕は寸劇をしたくてたまらなくなる。

 

「なぁ、盗ったんだろ?盗ったんだよな?え?盗ってない?どの口が言ってるんだよ。じゃあなんでお前のカバンからうちの商品がこんなに出て来るんだ?レジ通してないだろ?これ。なぁ、こじれないうちに話した方が身のためだぞ?」

「チーン」「誤解です。」

 

みたいな。

 

「ねぇ、昨日は職場の飲み会って言ってなかった?女の子と二人でイルミネーション見てるあなたを見かけたって友達から連絡来たんだけど。写真まで送られてきてる。このカバンあなたのよね?この帽子も。この手袋は私が編んだやつ。ねえ、なんとか言いなさいよ。なんとか言いなさいって言ってるでしょ。」

「チーン」「誤解です。」

 

みたいな。

 

大抵、エレベーターには他人がいるし、仮に誰もいなかったとしても気の置けない人と乗っている確率なんてそんなに高くなくて、仮の仮に誰もいないエレベーターに気の置けない人と乗っていたとしても、このシチュエーションコントを理解してもらえるかは甚だ疑問である。

だから、現実世界でこのショートコントをすることはまずない。

まずないのに、いや、まずないからか、エレベーターで五階に停止するたびに頭の中ではコントが始まる。様々な誤解のシチュエーションが頭を駆け巡って、ニヤニヤする。

 

こんなことを、毎日毎日ずっと考えている人生が、僕の人生です。

ライフイズビューティフル!