徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

親知らずの進撃

歯茎のウォールマリアをいとも簡単に突破した進撃の親知らずは、顎関節の悲鳴をそこそこに聴きながら口腔内にコンニチハした。

今朝の出来事である。

昨日までは全くなりを潜めていた親知らずだったのだが、突如ロケットスタートをぶちかました。何を合図に飛び出したか知らない。少なくとも僕は合法を撃っていない。

被害は止まることを知らず、突き破った歯茎はもちろん、脇っちょで何食わぬ顔をしていた内側のほっぺまでも巻き込んで勢力を拡大している。異常事態を察知したリンパも気合い入れてパンパンに張ってくれている。体内の出来事に対しても過敏に反応するリンパの生真面目さに低頭だ。おかげで顎がうまく引けない。簡単にアッパーを食らう姿勢となってしまっている。

これまで幾度となく主張をしてきた奥歯。出ては引っ込み、出ては引っ込みを繰り返してきた。恋の駆け引きが苦手なご主人からすると、びっくりするくらい駆け引き上手な親知らずである。それとなく存在を示しては、すっと消える。

今回の存在感と痛みな関しては、完全に僕を落とそうとしにきている。今僕はほとんど親知らずのことしか考えられないほど、ヤツの虜だ。

でも、抜きたくない。抜きたくないんです。痛いのは嫌なんです。

嫌よ嫌よも好きなうち。そんなことも全部把握した上で、多分親知らずは出てきてる。

歯上で踊り、歯に踊らされている。

歯ラスメントに負けないで生きていく気持ち。