徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

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芝刈りの匂いとノスタルジー

最近、走っている。

気分が乗った時に気分が向いた方向に走っていく。3パターンくらいのコースがあって、どれも一長一短。交通量や舗装状況、距離なども鑑みて走るコースを決めている。

特に好きなのが海岸沿いのコースだ。浜辺のように開けた公園があり、そこまで走って行っては帰ってくる。おおよそ30分の血流促進だ。

この間走りに行ったとき、ノスタルジーな匂いがした。なんだったっけ、なんだったっけこの匂い…と頭の中の匂いメモリーボックスをひっくり返して探していたのだが、なんのことはない、芝刈りの匂いだった。電動芝刈り機を使って用務員のおじちゃんたちがヴィンヴィンと芝を刈っていく。積まれた草の山から青い匂いが漂っていた。


実家から歩いて30秒くらいのところに小さな公園がある。滑り台を滑ると帯電しまくって静電気が止まないことからビリビリ公園と呼ばれていた。

ビリビリ公園がどんな団体によって管理されている公園なのか当時の僕は知る由もなかったが、ある程度町内会で公園を見ていたのだと思う。ビリビリ公園の芝刈りも町内会の有志によって行われていた。

5月か6月、梅雨のない北海道の、初夏の陽気に包まれた日曜日。近所のお父さんたちが一斉に芝を刈る。小石とかが飛んでくるから、子供たちは近づけない。毎日のように遊んでいる公園だ。晴れた日曜日に遊びたくないはずがない。でも、公園には入れないから、なんとなく友達と集まってゲームしたりして遊ぶ。開けた窓からは芝刈りの音。芝刈り機の重低音が幾重にも重なり合って響く。次第に刈る芝がなくなってくると、ぽつりぽつりと芝刈り機の音の数が少なくなり、音量が小さくなり、フェードアウトしていってついに音がなくなる。僕たちは飛び出す。芝が刈られた後の公園は走りやすく、鬼ごっこをするにしても何をするにしても足が速くなったような気分になったものだった。芝刈りしたばかりの青い匂いの中、いつよりもすばしっこく動き回った記憶。でっかい図体をえっちらおっちら動かし、すばしっこさも果てたスローなジョギングをしながらでも、青い匂いは僕を当時の公園に運んでくれた。

思い出をついばみながら、また走る。

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