徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

30くらいで結婚しそう〜

終電の山手線。新宿から渋谷、品川へ向かう電車の中。そこそこに気を使った飲み会が終わり、ぬるぬると明日のことも考えながらの帰り道。

向かいの席には、女性2人と男性1人のグループ。閑散とした車内で比較的ゆとりを持って着座している3人が、ざっくばらんに恋やら愛やらの話をしている。楽しいな、楽しいよな。楽しいと思うよ。

仲よすぎないほどに仲のいい3人と見た。お互いをそこはかとなくアゲまくる。

その顔で彼女いないのはおかしい。いやいや、それを言ったらあなたが彼氏いないのがおかしい。手相見せて〜、あー、これ、30位までには結婚するわ〜。いや、元カノとはすごく仲よかったんだけどね、一年過ぎたあたりからちょっと…

側から見たらお互いそんな特筆すべきこともない出で立ちだし、側から見てる僕も特筆すべきこともない。特筆に値しない車内で巻き起こる特筆に値しない会話を、特筆に値しない奴が見ている。これが、平和である。かくいう僕もハジメマシテに塗れた飲み会に勝手知ったる同志と乗り込んでいった帰り道。スーパー上澄みコミュニケーションを捗らせまくった帰りに、スーパー上澄みコミュニケーションを拝見すると、平和以外の感想が出てこない。


欲っていうのがある。

三大欲求とか、ナニはドレより高次の欲求とか、諸々ありますけれども、それぞれの欲にそれぞれの根っこがあるわけではなく、全ての欲の根っこは一つで、それがどう言った形で表象するかで欲のはけ口が決まって行くのではなかろうかとふと思った。

男女間、つまり性への欲のはけ口って、とてつもない力を持っている。僕らがハジメマシテをしたのもそう、向かいの連中が爆上げタイムに興じているのもそう。ソフトなものからハードなものまで、魔力としか言い表せないなにかがそこにはある。

また、これが苦手な奴らも存在する。

そういう連中はそういう連中で、それぞれのはけ口を持っている。僕は曲とか文章だし、ある人はゲーセンかも、ゲームかもしれない。かたやボディビルかも、一方ではプログラムかも、写真かもしれない。認められるチャネルが多くなっちゃってるから、あー恋人とかいらんわみたいな若者が増えてる側面も大いにある。違いない。

そうは言っても、原初の欲には勝つべくもなく、いつまでたっても女の子は好きだし、ご飯食べたいし寝たい。それがうまく表現できない。だからこんな七面倒な文章で、欲に素直な向かいの席の皆の衆を描写している。誠に情けない。


電車は乗り継ぎ駅にたどり着き、向かいの席の3人とははぐれてしまった。今日の京浜東北線は乗り入れ電車の遅延で20分くらい遅れている。「お急ぎのところご迷惑をおかけし大変申し訳ございません。」駅員さんの謝罪がホームに響く。多分本当に迷惑してるのは駅員さんだ。好きで遅れたわけじゃない電車の遅延を謝る気待ちはどうだ。しかしそんなことでぶうぶう言ってちゃ仕事にならんのだろうな。心中を察して余りありますお疲れ様です。


そろそろ最寄りに着く。終点。それぞれがそれぞれの疲れを抱えて、多分明日も頑張るのだろう。終わりは始まり。終電が遅れて等しく迷惑をかけられたらしき我々の明日はここから始まっている。

さあやっていこうじゃないか。

まじでイングランド勝ってほしい。