徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

異動初日の叫び 〜能力とは〜

本日初出勤でした。

哀しいかな同部署の同担当職務の方々は繁忙の刻を迎えており、僕は海のものとも山のものともつかないけれどもボスボス飛んでくるメールに対して、他人のメールフォルダを盗み見ながら「海のものっぽいですね、海のものでいいですよね?じゃ、刺身包丁で料理しますよ…?」っておっかなびっくり対応を重ねた。多分うまくニュアンス伝わらないと思う。

異動すると、真っ裸になる。

これまで来ていた身ぐるみを剥がされ、真っ裸で放り込まれた先には見たこともない身ぐるみの人たちが生息している。早くその身ぐるみを着たいなぁと思いながら、3ヶ月もすれば新しい身ぐるみに包まれて仲間に入る。この3ヶ月が組織を変えるチャンスであるとか美しいことをいう人がおるが、そもそも組織をかえる道具を持たない素っ裸の人間がどうしろと。みたいな卑屈な気持ちがむくむくと首をもたげなくもない。

ちょっと、一回整理しようぜ。

能力ってなんだよ。

 

対人技術

異国の地に行っても生きていけそうな奴って、周りに一人二人いるだろう。そいつらが優れているのが、この対人技術だ。なぜか人の懐に入るのがうまかったり、嫌味なくお願いできたり、どう言うわけか可愛かったり。逆に人見知りとか、あがり症とかは対極に位置している。

これ、天性のものなんじゃないかと思われがちなのだが、本当に天性のところと天性じゃないところが存在する。

例えば顔立ちは天性マターだ。目がクリクリしているとか、広角が上がり気味とか、些細なところから人に好印象を与える顔立ちに生まれている人は実際にいる。前世で相当な徳を積んだのでしょう。羨ましい。他にも人との距離感をつかむ(空気を読む)ことに関しては卓越した技術があるとかは、ある種の天性かもしれない。

対して声色とか、雑談する力とかは後天的マターである。勤めて明るい声をだしたり、世の中の動向にアンテナ張り巡らせたり、適当に話を合わせたり。これは訓練でどうにでもなる事象だ。

異動や転職において誰も知らない場所(既存の人間関係が構成されている場所)に飛び込んだ際、最も必要になるのがこの技術で、逆に日が経って人間関係の中に取り込まれると次第に必要なくなってくる。

 

業務技術

箇条書きにして履歴書に書きやすい技術たちである。

TOEICの点数や資格の類はもちろん、もっともっと瑣末な、電話対応・エクセル・資料作成など、勉強や職務経験の中で身につけた技術だ。

エンジニア界隈における同業種転職の時なんかは全部業務技術ありきなところがあるように思う。どの言語が書けて、機械学習をやらせることができて…って持っている技術を抱えながら転職する。即戦力。素晴らしい。

逆にスキルアップやらキャリアアップを目論まれた人事異動においては、この部分は皆無となる。ゼロベースからのスタートなので、相当気合がいる。わからないままわからない沼に突っ込んで行って、わからない!って叫び散らかして家で勉強するみたいな毎日が幕をあける。

 

飲み込み

業務技術が既に身につけている技術だとすると、新しい技術を取得する際に必要なのが飲み込みである。

全くもって理解できないんだけど、世の中にはマジで一を聞いて十を知ってしまう人がいる。なんだこいつとしか思わない。僕もたまにマネしたくて超予習してスター状態のまま説明を聞いて、超飲み込みのいい人を演じるんだけど、演じているだけなのですぐ化けの皮が剥がれる。辛い。

これ鍛えることができんのかなぁって考えるけど、多分その辺りは以下の経験と密接に関わっている。

 

経験

業務技術・飲み込みと相当近い領域の能力だが、多分別物。

経験は業務技術や飲み込みの下地となっていて、超個人的かつ超個別の体験のことを指している。

「いい加減信頼関係を築いたと思っていた取引先から300万の手形で仕事を受注したが、取引先が倒産したため不渡りとなった。あの経験があるから大変慎重に商売を進めるようになっている。」とか。「前職でクレーム対応を死ぬほどやってきたのと、企業の決算書を読むのが趣味だったから、ラインじゃないけど偉い人に激詰めされてもなんとかのらりくらり対応できる。」とか。

応用力と言った方がいいかもしれない。

全くもって形をなさない経験ではあるものの、仕事上相当効いてくるし、本質的な仕事をすればするほどこの経験が応用できるようになってくる。経験だけで生きられるようになったスーパー妖怪が、新浪剛史みたいなプロフェッショナル経営者だ。どうかしてる。

 

価値観(性格傾向)

価値観は、職務の中で上記の能力がどのように発現するかを左右している。

「超人当たりよくてバッキバキに収支見られて資料作れて、一を聞いたら三億くらいを理解してめっちゃ応用利くけど、ポケモンが大好きでゲームを片時も離さない。」こういう人多いと思うし、こんな極端じゃなくてもそれぞれ特有の価値観を持っていて、仕事にも私生活にも多大な影響を及ぼしている。

この価値観が仕事むき(前向き?)だと、初期能力が雑魚雑魚でもそのうち戦えるようになってくるし、たとえ能力者だとて全くもって誠意が見えないぺんぺん野郎だと能力発揮をすることなく穀粒しに成り果てるから今すぐ失せてしまえ。

他にも、あまり人の目を気にする事なく仕事ができるとか、マイペース、せっかち、図太いなどという性格傾向も大きく影響する。人間関係の相性にも、飲み込みの良し悪しにも関わってくる。互いに有機的に機能しあっている。

 

 

 

 

会社が提示する能力開発とか評価基準って、どうしても職務の遂行状況に関わってくる。でも、職務の出来って組織の出来にも関わってくるところがあるから、純粋に人を評価しているかといえばそうじゃない。では自力とは?本当の能力とは?会社が提示してくれないんだったらどこかに助けを求めるか、自力で考えるしかない。そういうわけでだだだーっと列挙した。

もうちょっと考えたらまだいくつかの項目が出てくるだろうし、それぞれ細分化していく必要もある。

でも。この漠然とした無力感と不安を取り除くためには慰め程度の分類を書きなぐったでも十分効いた。これ出来てるな、これが問題だなって、誰も教えてくれないからな。

まだまだ道は続きますが、辛くなったらまた細かく細かく噛み下いて自分を見つめたい。以上、異動初日の叫びでした。