徒然雑草

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異動して1ヶ月、今のお仕事から見た人事とは

九月一日付の異動だったもので、本日をもって人事部の人事労務担当1ヶ月を迎えた。本当は九月六日まで北海道に帰っていたりしたので、実働でいえばまだ三週間なのだけれど、籍でいえば1ヶ月。正直めっちゃ大変だ。処理しなければいけない情報量が非常に多いし、どれもこれも初めて出てくる事象なのでほとほと対処に困ってしまう。じゃあ、何をやってるの。何でそんなに忙しいのと聞かれると、色々…なんていう頭の悪そうな答えしかできないのも嫌なので、ちょっと今の段階で考えられていることを書いておきたい。

 

人事の仕事とは

人事と聞いて、ある人は採用活動をイメージするだろうし、ある人は人事異動をイメージするだろう。現職に着くまでに僕がやってきた職務はいわゆる営業で、「〇〇屋さん」という言い方でほぼほぼ言い表せてきた。しかしこの度の業務を言い表すのはすごく難しい。人事というから人のことだけかと言われれば、そうではない。もっと多岐にわたる業務を行っている。

じゃあなんなのよと、お前の仕事なんなのよと。

定義として大きく間違っている可能性はあるのだけれど、今の職務で今僕が感じている人事の仕事を一文でいえば、「法人が健全に営利活動をするための事」である。略して人事。人事の人は法人の人だと考えないと、今の職務に説明がつかない。

 

人事は経営スタッフ

これも人事担当職務に就いてからよく言われる言葉だ。なんで人に関わる仕事が経営スタッフなんだよって思ってたけど、法人の人だと考えてからはすっと飲み込めるようになった。

会社がやらなきゃならないことはたった一つ、利益を残すことである。唯一にして最大の使命だ。

でも、それにはルールがある。取引先を叩きに叩いて、本当は下代1000円の品物を10円で仕入れて1500円の上代で売り出したり、新卒採用で採用した若手を10円の給料で一日15時間働かせたりしたら間違いなく会社は儲かる。けど、そんなの罷り通ったら世の中スラムになってしまうから、賢い人たちがルールを決めた。労働基準法とかいうやつ。でまた最近はルールを遵守しないとコンプライアンスに引っかかるとして、あらゆる企業が正当な商売を心がけるようになっている。その上で、その上で、利潤を追求する。絶対ファウルしてはいけない市場24時みたいな企画を必死こいてやってるのが今の法人たちだ。

その法人の事をやっていく人事。その中にも様々職務がある。「採用・能力開発・厚生・勤怠」これらはわかりやすい人事の業務だろう。法人の中で働く個人、いわゆる人的資源を司っている。個人個人が適正に健やかに勤労に励むための機能。

しかしかたや労務。弊社においては、人事の中でも労務担当が最も経営スタッフっぽい。それは何故かといえば労働組合という社外組織によるものである。

 

労働組合と人事労務

大きな会社には大抵備わっている労働組合。これが果たしている役割は相当大きい。

語弊を恐れず言えば、会社は基本独裁だ。基本、社長に意思決定権が備わっている。白か黒かで揉めた時も、社長が選択した色の方向に全力で向かっていくのが企業である。けど、労働者も人だから、一個の決定についても思うところはたくさんある。不平不満がたくさん出る。そこで、民意を(労働者意を)社長に(経営者に)伝えるためにできたのが労働組合なのだ。

だから、労働組合が重視するのは、「いかに会社員が納得して平等に健やかに働けるか」であり、法律が定めた遥か手前のラインで議論が行われる。だから組合員は守られていると言われるし、実際そうなのだ。

労働組合が会社員を司り、会社員の総意としてそびえた立つ。お分かりだろうが、会社で行われる事は間違いなく会社員の手を介して行われているため、労働組合はあらゆる営業施作や就労決議を確認し、会社員として納得のいくものかを精査する。

そして我が社では僕ら労務担当が、会社と労働組合の意見をすり合わせている。

そう言った事情で会社に関わるあらゆる事象が労務担当の元に舞い込んでくる。何に忙しいかと言えば、それは会社のことで忙しいとしか言えない。何しろ経営を前に進めるための実務を行っているのが、当社の労務担当だ。

 

目的のための手段と手段のための手段

法律や組合との約束の中で、会社が「健全に営利活動をするため」に必要なことはある程度定められている。うちの会社だとこれが7項目くらいに分類されていて、それぞれに組合が担当者をつけ、それぞれに納得がいくものかを輔弼しているし、我々人事労務担当はそれぞれの実務担当者としてよりよい建てつけを考えたり組合と打ち合わせたりする。

一方営業部にいた頃はどうだったかと言えば、ある種専一になれていた。7項目も仕事は与えられなかった。「〇〇屋さん」としての営業活動でいかに収益を上げていくかが勝負だった。

大きくない会社であれば、目的と手段は密接なのだと思う。創業間もない会社なんかはきっとそうだ。ただ、事業領域が広がり、従業員が増えるとともに、目的と手段の距離が少しずつ離れてくる。いや、離れるというよりも、「売上を伸ばすための建て付けをある事業部に当てはめて、さらに課に当てはめた先の係はこういう動きをして、その係の中のお前はこう動くべき」みたいな構造。手段が手段にぶら下がっている。営業部にいた頃の本質と離れている感は、目的や意思決定から沢山の手段を経てたどり着いた部分に居たことによる。

そう考えると、今は「売上を伸ばすための建て付けをある事業部に…」あたりで情報もらって組合と殴り合いする部署にいるわけで、より本質に近い。だからこそ、本質の熱量を持ってして知らしめていかなければいけないし、組合にもぶつけていかなきゃいけない。

 

人事部の労務担当として

ラインマネジメントの外にいるから就労などの事項についてどんな偉い人でも指摘しなきゃいけないとか、七面倒くさいわりに大事なことがたくさんある。だけど、諸々鑑みると、従業員の納得性を維持しながら会社の目的を手段に落とし込む際に二者の距離を縮めて伝える仕事をするのが使命なのだろう。

かといって職責が重くなったとかそういうわけじゃない。営業部にいる者も、総務にいる者も、人事にいる者も、それぞれがそれぞれに歩み寄って、「法人が健全に営利活動をするため」にやっていくしかないのだ。そればかりはどこにいたって変わるもんじゃない。

ひとまずこんな思いを1ヶ月経ったところで抱いています。

忘れないうちに書いておきました。