徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

「最高の飲み方」なんて存在するのか

この本についての話です、

 

マンガでわかる 酒好き医師が教える 最高の飲み方

マンガでわかる 酒好き医師が教える 最高の飲み方

 

 

 

先に断ると、僕はこの本を読んでいません。

 

当方、京急線ユーザーである。京急の車内広告にここ最近猛烈に取り上げられているのが、本書。酒好き医師が翌日に残らないうまい飲み方、太らないような飲み方を教えてくれるらしい。実は唐揚げとお酒を一緒に摂るのは悪くない⁉︎みたいな見出しが踊っている。

僕もそこそこに酒を飲む。人並みに愉しい思いも、失敗もした。酒さえ飲んでなかったら僕の財布にはもう何十万円か何百万円か、余分に取っておけただろう。地獄のような二日酔いの苦しみのなか出勤することも、その苦しみに耐えて吐きながら出勤したのに、酩酊中に財布と名刺入れを紛失したのに気付き途方にくれることもなかった。けど、泡沫の愉しみは後先を考えさせてくれない。その場が、その会が、楽しくて、面白くて、酒が進み、地獄に飛び込んでいく。

 

そうした幾らかの経験より導き出せる、酒の鉄則はただ一つ。健康的でいたいのなら、後悔に身を浸すのも良しと思えないのなら、太りたくないのなら、飲みすぎないことである。それ以上でも以下でも、それ以外のなんでもない。

個々人、酒との相性はあるだろう。僕は比較的ビールと日本酒と焼酎は得意だが、ワインはそこまでじゃない。紹興酒も簡単に酔っ払う。けど、全てに通ずるのは、たくさん飲んだら激しく酔っ払い、翌日二日酔いになるということである。単純明解。面倒臭い理屈は存在しない。飲んだら酔っ払うし、飲まなきゃ酔っ払わない。ただ、それだけだ。

正直、「飲み方」の介在する余地があるレベルの飲み方であれば、大して酔っ払っていないのではないかと思う。百薬の長になり得る、たしなみ程度の飲酒だろう。怖いのはその先だ。その先の恐怖や苦しみを、もし「飲み方」で帳消しできるのであればぜひ教えて欲しい。が、おそらく無理だ。ほとんど病のごとき状態に陥るのだ。方法でどうこうできるレベルではない。

 

一方、お酒の楽しみ方は酔っ払うだけでないのも事実。大勢で飲むときは酔っ払うのも楽しいが、本当に良い酒を美味しく美味しく味わって飲むのも楽しい。また、ワインや焼酎、日本酒の知識を深めると含蓄の深い面白い人間になれもするだろう。それら全て、お酒の楽しみ方として紛れもなく正しい。

一刻も早く、後者のような楽しみ方ができる大人になりたい。

だが僕らは日々、人に囲まれて生きている。皆が世の中をうまく歩けるように、社会の隙間を仕事で埋めて生きている。人のために皆が働き、その対価で飯を食う。するとどうだ、酒を飲むのは必然的に人と会う場となり、大衆居酒屋となり、結果、大酒を食らうような退廃的かつ刹那的な愉しみ方に終始してしまう。情けない。

 

そういうわけで、僕は飲み方には全くこだわらず、来るもの拒まず、淡々と日々の飲酒を重ねていく次第である。量だけ、量だけ気をつけましょうね、年の瀬ですよ、みなさん。無用な嘔吐、無用な痴態、無用な物品破損にはくれぐれも。