徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

打ちっ放しが楽しくてもう

楽しくて。

2週間前、友人の結婚式に準じて帰省した北見で15年ぶりに持ったゴルフクラブ。小学6年以来のスイングは僕に旨味にも似た後味を残したらしく、次の瞬間には伯父より余ってたクラブを東京に取り寄せ、クラブが5本くらい入るソフトケースを買い、ゴルフ練習場を調べたら走って10分ほどの場所にあったものだから比較的足繁く通うようになった。

東京の打ちっ放しは高いという。それは実際間違いではなく、ボール単価で行くと北見のゴルフ場の3倍程度のコストがかかる。更にクラブだボールだティーだなんだとなると本当にお金のかかるスポーツだ。趣味にするにもコストが大きな参入障壁になっているように思う。


恵まれたことに棚ぼたでクラブを貰って、最低限の支出でゴルフができる環境が整っている。あとはランニングコストだけという状況。コースには出ないまでも打ちっ放しで練習をする。

端的に、ゴルフは面白い。多分、僕の性格と合っている。

何が面白いのか。


まず、相手がいない。

これはボウリングにも言えることだし、ピアノにもギターにも、生業としていた陸上競技にも言えることだ。試合となれば話は別だが、基本は自分との戦いである。当方一人っ子にて、淡々と黙々と自分と向き合って作業するのが好きだし得意だ。

相手がいないということは、変数が少ない。

僕と、止まったボールと、クラブ。3人しか登場人物がいないのだ。ピッチャーもいなければ、ゴールキーパーもいない。ただ、静止した空間に僕とボールとクラブ。僕がどうやってクラブを使い、ボールを打つか。ただそれだけの単純さが性に合っている。陸上なんて身体一つだし、ピアノもそうだ。黙々系スポーツである。

さらに、トライアンドエラーのスパンが大変早い。

一度打ちっ放しに行くと300球くらい打つ。打ち放題プランである。単純に、300回トライアンドエラーが繰り返されるって凄くないか。300回打つ前と打った後だったら確実に打った後の方が上手くなる。集中して、一球一球丁寧に打つ。右に曲がったら理由を考え、試す。上手く当たらなければ小さな動きに立ち戻り、少しずつ大きな動きにして修正していく。一球前より一球後、一球後より二球後と、どんどんとトライアンドエラーが積み重なる。よく、「PDCAを早く回そう」と賢そうな人たちが言うけど、ゴルフのPDCAは爆速である。ガンガンいこうぜ。

そして何より、没頭できる。

クラブを背負ってジョギングした後にゴルフと向き合う。血行が良くなりポカポカしてきて、ポジティブな気持ちが心を埋めつつあるときにひとつのことに専一になるのだ。夢中である。あの気持ちは適度な難易度の横スクロールアクションゲームをやっている時のそれに近い。マリオとか、ドンキーとか。果敢に挑んでは跳ね返され、試行錯誤をする。前回とは違う動き方を考え、ステージをクリアを目指す。あの時のピュアな試行錯誤を、ゴルフに感じている。飛ばしたい方向に飛ばしたい距離だけ飛ばす。微修正で済む時もあれば、根本的にダメな時もある。どちらにせよ、ダメだった時と少し動きを変える。クラブの握りなのか、角度なのか、腕の上げ方なのか。そして少し修正されて、不意に会心の当たりが出る。これ!これだ!と同じ動きを意識する。まさに横スクロールアクションである。

徐々に上手くあたるようになってくると、単純にスカッとする。

ちっちゃなボールを鈍器でぶっ叩いて遠くに飛ばしているのだ、スッキリしないはずはない。上手くいかない時のストレスと表裏一体のスッキリ。裏と表で全く違う面を見せるゴルフに哲学を感じてしまう。


会社の先輩とかに連れられてそのうちコースに出ると思われる。ひとまずそれを目指して打ちっ放しを重ねる。

ほんと、いい趣味になるかもしれない。