徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

利きトイレットペーパー

拭いただけでトイレットペーパーの種類がわかるとかいう話ではなく。


皆、利き手があるだろう。お箸を持つ方の手、鉛筆を持つ方の手、ボールを投げる方の手。左利きの方が総数は少なく、才気あふれる人が多いやら何やら。サッカー選手や野球選手には両の手足を等しく使える人が沢山いる。左右差をなくしたいらしい。ゴルファーだって、右でも左でも打てる人が多い。しかし、彼らですら、生粋の両利きではなく、努力の賜物の両利きだ。


そう、話をしたいのは、便座に座った際、トイレットペーパーが右に設置されているか左に設置されているかである。


僕の実家は、右だった。右に馴れ、右に親しみ、18年間右トイレットペーパーを貪った僕は右トイレットペーパー利きになった。外のトイレに入って、左に設置されていたら、心底の違和感を感じながらトイレットペーパーを引き出していた。

転機が訪れたのは上京の際だ。

アパートのトイレが、左トイレットペーパーだった。

これには参った。昨日まで右で持っていた箸を、左で持てと強要されるに等しい話だ。諸君、そう言われてすぐに対応できるだろうか。簡単ではない。当然、難しい。きっと食事が億劫になるだろう。同じだ。僕もトイレが面倒になった。左トイレットペーパーを嫌い、右トイレットペーパーを懐かしんだ。しかし、容赦なく左トイレットペーパー使用の機会は訪れる。仕方なしに左トイレットペーパーをする。そんなことを繰り返しているうちに、左トイレットペーパーも得意になってきた。練習は力。継続は力。


このアパートの四年間を経たことで、晴れて僕は両トイレットペーパー利きになったのだが、やはり18年の重みは大きく、右のほうが得意ではある。

誰も口に出さない話かとは思う。おまえ、トイレットペーパーどっち利き?とかまず言われないし、気にもしていない人も多いだろう。でも、絶対に得意な向きがあるはずなのだ。


あなたのトイレットペーパー、どっち利きですか?


これを言いたくて、明日は多分眠い。