徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

朝キャバ帰りのお姉ちゃん

大田区の方に引っ越してきて1年半ほどになるが、蒲田は治安が悪い割りにキャバクラが少ないように思う。錦糸町はすごかった。アブナイ感じのお店から危なくない感じのお店まで、ありとあらゆるキャバクラがあった。いろんなお姉ちゃんがいた。

キャバクラのお姉ちゃんは、その空間においては女優である。おっさんの金を夢に変えなきゃいけない。1人の人間としてではなく、キャバクラのお姉ちゃんとして。だから、露出の多いドレスを着ていたとしても、人間性の露出は少ない。キャバクラのお姉ちゃんをずっと演じている。


この間横断歩道の赤信号を待っていたら、朝キャバ帰りのお姉ちゃんが隣に並んだ。ボディコンキメキメのドレスに、秋口の北海道を原付で走ったら雪虫が大量付着しそうな髪の毛。絵に描いたようなキャバクラのお姉ちゃんだった。

青信号に変わり、お姉ちゃんが先に歩き出した、その足元はエアージョーダン。

僕はお姉ちゃんが愛おしくてたまらなくなった。足首から上と足首から下がまるで別人である。ヒールが辛かったのであろう。僕たちサラリーマンがネクタイを外すがごとく、彼女はヒールを脱いでエアージョーダンに履き替えたに違いない。演じ終えた女優の素顔。すっぴんのエアージョーダン。かかとのくたびれ方からして、相当履きこんでいると見えた。やはり実利。花より団子ですね。


厳しい上司が飲み会で砕けた時のような、卒業後に先生と宴席を囲む時のような、あの感じ。公から少し私がはみ出した時の愛おしさったらない。

誤解を恐れず、また会いたい。