徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

人生初の富士急へ

梅雨寒だなぁ、暖房もつけちゃうなぁ、布団の中でぬくぬくしていたいなぁ。そんな後ろ重心で尻込みまくっている諸君、いいんですか、本当に。貴重な、慈しむべき一日を、YouTubeとインスタに費やしていいんですか。私は是としませんね、全く是としない。寒いミストサウナのような外気に包まれた朝5時、東京。元気よく家を飛び出し、向かう先はどこかといえば日本が誇る霊峰富士の足元。富士急ハイランドである。端的に言おう、過酷そのものだ。駅で電車を待っているわけだが、ゴルフバッグを抱えた兄ちゃんとどっこいどっこいの過酷なフォーチュンを背負っている。

富士急の正しい楽しみ方といえば、絶叫と裏腹の絶景のはずだ。富士山に見下ろされながら、鳥のようにドドンパ、日々のストレスなんてええじゃないか。だが、京急に揺られながら外を眺めるに、見通しは猛烈に悪い。三寸先は雲に閉ざされている。富士急なんて濃霧なんじゃないか。

現実的にも比喩的にも見通しが立っていない。だが、過去を振り返ってみて、鮮明な記憶として残っているのは、その時その瞬間を一生懸命に生きた時のものだ。打算的なものではなく、懸命に楽しみ、懸命に走り、懸命に学んだ時の記憶が、僕のメモリーズを構成している。

寒さと雨と恐怖との戦いになるだろう。大変な思いもするかもしれない。それもこれも、いつか、全部がいい思い出になる。間違いない。

品川から新宿へ向かう電車には夜を続けている人が多い。アルコールに内臓を持っていかれた人々を横目に、僕は生命を賭して思い出を勝ち取る。

いざ。