徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

「眉村ちあきのすべて」を観てきた

横浜は黄金町。ファッションヘルスが軒を連ねる酒池肉林の中にポツリと佇むシネマジャック&ベティにて、表題の眉村ちあきのすべてを観賞してきた。たまたま予約したタイミングで舞台挨拶もあり、監督とプロデューサーの対談を眺め、パンフを買い、サインまでもらってきた。ありがとうございました。

 

映画『眉村ちあきのすべて(仮)』公式サイト

 

去年渋谷のパルコで上映していたのは知っていたのだが、観に行くタイミングを逸し、特に鑑賞への執念が沸いたわけでもなかったため放っておいた。しかしたまたま一昨日、Twitterでジャック&ベティ上映の情報を目にし、しかも晩酌の時分、次の瞬間には席を予約していた。勢いである。ジャック&ベティで演っていたのもよかった。以前フジ子・ヘミングの映画を鑑賞した際にお世話になった。こういう映画館が近くにあると、また少し人生が狂っていたかなぁとも思う。

 

さておき、眉村ちあき、通称ちちゃんである。

 

ktaroootnk.hatenablog.com

 

一昨年になる。アルバムを買った。この時期このアルバムしか聴かなかったほどに聴き込み、いまだにしょっちゅう聴く。詳細は昔の私が熱っぽく語っているのでそちらに譲る。

よくよく聴いていると言って、じゃあライブに行ったりグッズ買ったり、ファンっぽい動きをするのかといえばそうではなく、ただ一枚のアルバムを好きで聴くという方法が僕の眉村ちあきへの愛情表現のすべてであった。また、たまたま参加したバンドのギターのおっちゃんが地下アイドル時代のちちゃんの写真を撮っていたとか、同僚に勧められたたまたま観た恋のツキの主演の徳永えりが本作にも出演していたとか、勝手に縁を感じる部分が重なった末、愛情表現の檻からいっぽ歩み出し、映画も見ようと思った次第であった。

 

映画を観て、舞台挨拶を見て、パンフレットを読んで感じたのは、「チームワーク」だった。人は一人では生きていけない、一つの目標に向かっていくにも、他人の力が必要だということだった。

物語にはクローンが大きく関わる。一長一短のクローンたちの奮闘と、チームワークにより成り立つのが弾き語りトラックメイカーアイドル「眉村ちあき」。映画の制作に奔走したのは、監督とプロデューサー。同じ映画に向き合っている人間であるのに、プロデューサーは実業家としてプロジェクトを成功させることを目的とする真人間であり、監督は出立も目つきも少し変わった天才肌で、一番ぶっ飛んでいるのが被写体「眉村ちあき」。五角形のようなマトリックスには現しきれない様々な能力に数値を振り分けた様々な人間が結託し、作品は生まれ、世に出る。

なるほどなぁと、ぼんやり帰り道に考えた。

 

映像としては本当に明るくなく、多くは語れないが、ラストの展開は低予算映画の醍醐味が肉汁の如く溢れ出すため、その筋の映像作品が好きな人は見てみると面白いのかもしれない。