徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

大先輩の定年お祝い会の幹事を務めて感じたこと

定年退職される大先輩の送迎会において、幹事を任された。これは思ったよりも大きな出来事で、ここ一週間ほど僕を苦しめた。会場はホテル。規模は60人弱。2時間の時間を渡され、どれだけ盛り上げて感動させられるかを試される会だった。

結論から言うと、会は成功した。

歓談、カラオケ、感謝状、先輩の涙。当初の予定とは大きく逸れたが、贔屓目にも失敗のの要素が見当たらないような素敵な会だったように思う。

心より感じたのが、他人を巻き込む大切さである。

ドラゴンクエストIIIをご存知だろうか。

バラモスと名乗る魔王に支配された世界を勇者が救う物語。旅立ちの都市アリアハンにて、仲間は誰もいない。勇者は「ルイーダの酒場」という施設にて、戦士、武道家、僧侶、魔法使いといった職業の仲間を集め、魔王を討伐する旅に出る。世界を救うために。

作中において、勇者は1人では何もできやしない。攻撃力もそこそこ、魔法もそこそこ、器用貧乏を絵に描いたような存在が勇者である。そこに各職業の仲間を加えることによって、途端に冒険は形を成していく。攻撃力と体力に特化した戦士、俊敏さと急所を狙う能力に特化した武道家、回復力に秀でた僧侶、魔法攻撃を得意とする魔法使い。さらにそこに道具やからお金をねぎれる商人や、宝箱の位置を教えてくれる盗賊などが加わり、冒険の攻略方は複雑になっていく。

今回の会を仕切り、改めて人の一長一短と自分の何もできなさを思い知った。子供の頃必死こいて遊んだドラゴンクエストIIIを彷彿とした。

どれだけ巻き込めるか。自分が巻き込むのはもちろん、巻き込める土壌をいかに作れるか。この会のためになら多少ハメを外してもいいとか、この流れなら歌ってもいいとか。大切なのは、「魔王討伐」のようなわかりやすい理念を一つ作り上げることと、魔王討伐への段取り(RPGでいうフローチャートみたいなもの)を練り込むこと。この二点に尽きると感じた。

理念がないと人は動かない。今回は先輩を送るという大きすぎる目的があった。先輩の人望様様である。前に出て盛り上げるのが上手い人、合いの手に生きる人、写真を撮る人、笑う人、それぞれがうまいこと重なり合って、先輩を送るという目的に向かって一致団結できたように思う。さらに、フローチャートを真剣に考えた。結果として予定していた会と大きく異なった進行になったのだが、あらゆるパターンをしらみ潰した一つの流れに乗れたため、大きな驚きもなく、締めの時間に外れることなく会を占めることができた。

これも日頃やり込められている大上司の気遣いの指導のお陰のところが大きくて、甚だ悔しいのだが、まあいいとする。

やっぱり悔しい。