徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

イチローにチャンピオンリングを

50になっても現役とか、日本球界には戻って来たくないのかとか、事実上の引退とか、諸々言われてるけど、ごく個人的には、イチローがマリナーズでチャンピオンリングを手にしてくれればそれだけでいい。

2001年のマリナーズは文句なしに強くて、イチローも大活躍だった。彼の前途にはプレーオフでのドラマが沢山待っていると誰もが思ったろう。だが、現実は違った。翌年から少しずつ歯車が狂い始め、2001年にペナントで116勝したチームはあっという間に100敗する常敗球団に転落した。

そんななか、孤軍奮闘を極めたのがイチローだった。

1番でひたすら出塁し、後続が倒れても自らの仕事を全うし続ける姿。9番にベタンコートが入った時にはイチローの前で打線が繋がってワクワクしたし、ヘルナンデスが頭角を現した時にはいよいよ投手の柱ができたと歓喜したが、それまでだった。プレーオフにすら進めず、ただいたずらに時だけが過ぎた。

その間、メジャーの日本人選手は増え続け、ワールドチャンピオンになる選手も現れた。田口、井口、松井。誰よりも個人で結果を出しているイチローに、世界一の座は回ってこなかった。

ヤンキースへの移籍も世界一への渇望だったのではないだろうか。戦術的にもぐずぐずになっていくマリナーズを飛び出し、よりプレーオフ進出可能性が高い球団へ。しかし、それでも勝利の女神はイチローに微笑まなかった。

年齢を理由にした各球団の買い渋り。日本球界からのオファー。数多引く手はあったろう。しかし、イチローはクラブに残る選択肢を選んだ。何を隠そう、それはまだチャンピオンリングを手にする可能性があるということだ。

このままキャリアを終えるのはあまりにも酷すぎる。野球史上最高のリードオフマンが無冠で終わるなんて。イチローは選手を望むかもしれない。クラブはそれを望まないかもしれない。そんなことはどうでもいい。監督でも、コーチでも、選手でもどんな形だとしても、イチローがチャンピオンリングを手にしてくれれば、それでいい。それだけでいい。