徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

中華料理屋にて

かなり疲れてる感じがする本日23時。中華料理屋にて定食を食べている。隣の席の団体は30代くらいの男女。男2人に女3人。めっちゃめちゃ地元の人間なのだろう。相当深い思い出話をしている。小学校の頃から高校まで、時代が乱れ飛びながらの話。あれ覚えてる?これ覚えてる?あ!知ってる!ってお互いの正史を擦り合わせながら歴史に立体感が出てくる様を、まざまざと見せつけられている。

5人、楽しそうである。聞いてる方も楽しくなる。

思い出話ってなぜこうも楽しいのか。青春を共に過ごした人間が共に集まった、この爆発力。落ち葉狩りのような、終わった話をいつまでもいつまでもし続ける行為は一見不毛に見えて、どこまでも面白い。

そうだ、共通の話題である。

会社に強烈に鈍臭いとされる人間が1人いる。直属の後輩だった奴である。特に話が面白いわけでもなく、仕事ができるわけでもない彼は、それなりにやれる人間の中ではなかなか悪目立ちし、悪いやつではないんだけど残念なやつとして共通に認識されてしまっている。

彼の話は、ものすごく盛り上がる。

彼自身話しが面白いわけではないから、彼の話で盛り上がるのは彼がいないところが多く、それは半ば陰口なのかもしれないが、いかんせん話題に事欠かないから仕方がないと、皆、異口同音に彼を語る。パッとしないよねって。

彼の周囲の人間にとって「彼がパッとしない」という共通認識があるため、話が盛り上がる。幸か不幸かではあるが。思い出話もそう。同じ時間同じ場所で過ごした記憶が共通認識となり、話題に火をつける。さらに思い出は人それぞれ角度が違う。共通の話題を舞台に新しい知識がポンポン出てくる。そりゃ面白いだろう。

5人の話は、男性1人が片思いしていた子が実はその男性に好意を寄せていたことが発覚した辺りでクライマックスを迎えている。ベタだが、いい話だ。

今日の疲れも間違いなく近日中に思い出になっていく。青春ほどの多角的思い出合戦にはならないだろうが、巻き込んだ人たちとはいい話ができるに違いない。目先をずらして、終わったその時を考えて、なんとかやっていきたい。