徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

新盆

祖母が自宅に帰ってくる。祖父やらなにやら、わらわらと親族一同をお墓から引きずり出して、自宅の仏壇にやってくる。

祖母が亡くなって始めてのお盆だ。お寺さんがいらっしゃるというので、僕も早朝の電車に乗って祖母の家へ向かう。電車に乗って2時間。仕事柄、そこまで朝ら早くないので、6時台の電車になんて久々に乗った。

雲一つなく晴れている。かといって爽やかなわけではなく、ジトジトムシムシと体にまとわりつく暑気。これぞ8月。これぞお盆だ。

小さな頃から、夏休みといえば母の実家に帰っていた。北海道の短い夏休みとはいえ、時期はお盆と重なっている。8月の千葉の熱気は北海道のそれとはまるで違って、異世界に来たかのような気持ちにさせてくれた。花火をしてもラジオ体操をしてもまとわりつく湿気と暑気。蝉の声と田んぼ。地元の誰も知らない世界を僕だけが知っている気になった。この暑さは、ちっちゃな優越感だった。

とはいえ東京に住んで8年。毎年毎日暑さの中に身を置くと勘弁してください以外の感想が出てこなくなる。脇汗とも胸汗ともつかない汗にシャツを浸しながら通勤してみろ。勘弁してください。

しかし、今日は休みで、今はまだ早朝だ。

幾分マシな熱気の中、起き抜けの街を歩くと得した気分になる。1日は長い。まだ涼しい。スーツを着ていない。自由だ。自由だ!


京急から京成までつながる線路を行く。それは大層にこしらえた仏壇にででーんと鎮座する祖母。派手好きのばあちゃんにはぴったりだ。

さて、盆にかまけて、つかの間ののんびりを頂く。