徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

再起動睡眠

睡眠にはスリープモードと再起動の二種類がある。数年前から標榜している持論である。浅い眠りだが立ち上がりはよく、一方で続けすぎると途中から動作が重くなるのがスリープモード。一旦シャットダウンするため起動には時間がかかるが、アップデートをするには不可欠な動作かつリフレッシュできるのが再起動。睡眠にも同様のことが言える。5時間睡眠でも生きていけるけど確実にダメージは溜まっていく。たまに8時間寝ると寝起きはどんよりしているが、立ち上がってからは調子が良くなる。

世の社会人はスリープモードだらけだろう。寝不足を感じないほどの寝不足がじわじわと蓄積し、なんか疲れた、なんか怠い、なんか…と違和感程度の動作不良を起こす。自分の時間と睡眠時間を天秤にかけたり、仕事で時間が圧迫されたり、公私ともに大変ですね、大人は。

つまり何かと言えば、たまの再起動は本当に重要ですよと。


瀬尾まいこに、「天国はまだ遠く」という作品がある。典型的な再起動小説だ。

仕事で押しつぶされて死ぬことに決めた主人公が人里離れた村に行き、しこたま睡眠薬を飲んで、死んだと思ったら3日ほど眠りこけてなんでもなく起床する。

そこから物語が始まる。

村の人との関わりで主人公が救われていく過程が描かれていくのだけれど、思うに、大半のモヤモヤは冒頭の服薬再起動で解決してしまっているのではないか。死んだと思ったら生きていたという体験もそうだし、ただひたすらに眠りこけて脳みそがガシガシとアップデートされてったのではなかろうかと思う。

もしかしたら、気づかない中でもOSのアップデートって脳みそに訪れていて、更新の機会をみすみす逃している可能性だってある。もったいない。溜まってますよ、あなたのアップデート。


皆の衆、寝よう。現代社会はとかく寝させてくれないが、聞いちゃない。適切適度の睡眠をもって、生き抜いていこうじゃないか。