徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

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ボヤボヤワールド

目が悪いです。

全人類を目が悪い順に十等分したとしても、おそらくトップ集団に食いついていけるくらいには目が悪い。

近眼と近眼のサラブレッドなので、まぁ当たり前っちゃ当たり前なんだけど。

 

視力無問題の奴が少ない日本において、目が悪い景色がわからないって人は少ないだろう。

あの、ボヤーっとする感じ。わかってくれると思う。

それをさらにモザイクアート化したのがマイビジョンなわけだ。

 

不便だろうと思うでしょ。さぞかし不自由だと思うでしょ。なに、大したことはない。むしろメリットの方が多いと思ってるくらいだ。

強がってなんかない。ひとつも強がってない。

皆にわかって欲しい。この素晴らしきボヤボヤワールドを。

 

まず、メガネを取ると、30センチ先の文字はもう認識できなくなる。黒や白の塊になってしまって見えない。

確かに、文字を読もうとかしたら不便だ。けど逆手にとるんだ。文字なんて読まない。雰囲気を楽しむ。白いぼやぼやなんて、正常な視力じゃ見えないものなんだ。それが見える素晴らしさ。視力弱いならではの特権だ。

 

同じ原理で夜の街がものすごく綺麗に見える。信号機の色がにじむ。夜のネオンがにじむ。

赤とも青とも黄色ともつかない光の洪水が飲み込んでいく。

目がいい人はこの世界を見れない。夜景を楽しむには山とかビルとかタワーとかに登るしかないのに、我々逆マサイは道端で夜景を楽しめる。幸せかよ。

 

しかし風呂場では諸刃の剣となる。

見えない状態で大浴場とかに入るわけだけど、どうも見えないと気が大きくなる傾向にあるらしい。

人類皆兄弟。ラブアンドピース。

何しろ見えなさ過ぎてみんな肌色の物体でしかない。そりゃ兄弟にも見えよう。むしろ同じ個体にしか見えない。

この上なく開放的になった結果、相手が見えていることを忘れる。自分からみた相手は肌色の何かだけど、相手からみた自分はあられもない姿の一人の男だ。最上級の齟齬が発生する。視覚が封じられた後の世界で最重要覚の聴覚も、浴場では拡散しちゃって聞こえない。その結果気がついたら知らないおっさんとかと一緒に行動してたりする。

親しさと危うさが同居した、ひりひりする関係を築ける。

 

レーシックが流行っている。

あれもなかなかに危険な手術らしいが、うまく行きさえすれば、裸眼の生活を取り戻すことが出来るという夢のような技術だ。

だがしかし、一度矯正してしまったらもうこのボヤボヤとは出会えないのだ。二度と信号機の夜景に心ふるわせることはなくなってしまうのだ。

ちょっと切なくはないか。

不便と背中合わせな、この唯一無二の輪郭がぼやけた世界を 、大切にし続けたいと思う。

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