徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

やっぱりバンドやりたい

もうだめだ。バンドやりたい。バンドやりたい。

と言うかむしろバンドで有名になりたい。武道館とかでガツガツライブしてみたい。コール&レスポンスやりたい。サンキュー武道館!とか言ってみたい。誰だお前レベルの知らない奴が自分の曲知っている境地を知ってみたい。何とかアリーナとか、何とかドームとか、それはちょっとあまりに想像できなさすぎて逆に憧れない。相撲の立ち合いの情景を思い浮かべられないのと同じくらい、アリーナ満員の人の前で何かをする情景が思い浮かばない。なんだ、とにかく、バンドやりたい。

社会人になって数か月、そこそこに新曲がたまってきている。大学生後半のライブラッシュが嘘のような、静かな音楽活動を行っている。一度ライブに出てしまうと、自分の曲をやる楽しさとそのカタルシスを覚える。麻薬みたいなものだ。緊張と恥ずかしさの絶妙なシーソーの上に乗った恍惚に、また、手を伸ばしたくなる。ダメ、絶対の意味が少しわかった気がする。突如として自分を大勢の前で表現したい衝動に駆られる。禁断症状。

頭の中で、夢の中で、自分の曲が確かな腕のバンドマンたちに囲まれて発表される絵面を思い浮かべる。いや、これは絶対売れるだろと思う。

こんな趣味の範囲を一歩も半歩も出ない、むしろ趣味の中心にいる作曲家でさえそう思うのだ。本気で売れにかかっている、本気でファンをつかみにかかっている、ファンのいる、セミプロないしはプロの方々はどれだけ自分の作品に自信があるのだろう。アリーナを経験しているような、モンスターバンドたちの作曲者は、どんなテンションで曲を書くのだろう。数万人を盛り上げる絶対的な自信の元曲を書いているのだろうか。

きっとそうじゃないんだろうな。複数方向からの圧力にベコベコになりながら、それでも曲を書いているのだろうな。

星の数ほどいるバンドマンの中で、圧力と稼げなさと現実と実力の壁を乗り越えて、相当規模の客を集められる人間はそうはいない。限りなく少ない。夢を見るのは自由だが、追うのは完全な自由ではない。リスクがある。

そんな覚悟はないし、音楽で食ってく的意気込みもないけど、とりあえずバンドやりたい。誰かに聞いてもらいたい。