BUMP OF CHICKEN
アジカンやらラッドやらと並んで誰もが一度は通る道と称される、中高生を音楽の道へと誘うプロみたいなバンド。雑誌「ROCKIN'ON JAPAN」によく掲載されるバンドに送られる称号、ロキノン系の旗頭でもあり、ボーカルの藤原が表紙を飾る号の部数は何割増しだとかなんとかかんとか。
バンドの詳細はwikiを見てね。
けどまぁ一応まとめておこう。
うろ覚えBUMPの来歴
千葉県佐倉市の幼稚園にボーカル藤原ギター増川ベース直井ドラム升が集まる。小中と同じ学校へ進む。めっちゃ仲良しになる。そんな中ドラム升、ゴミ捨て場に落ちてたドラムを拾ってバンドに目覚める。藤原を誘う。流れで中学の時にバンドを結成。卒業式で演奏。盛り上がったやら盛り上がらなかったやら。それぞれ高校に進学。ベース直井は調理師学校へ。ところがボーカル藤原高校をひと月くらいでリタイア。俺は音楽で食っていく。みんな巻き込む。バンドに本腰。売れる。
どんな音楽をするの
基本的には藤原が作詞作曲を行う。巷ではこの藤原のソングライティング能力がめちゃくちゃに評価されている。演奏は長らく底辺レベルにあると噂されていたし、それをメンバーも認めていたが最近は普通にうまい。
音楽性といえど、最早BUMPみたいな音楽で通じてしまうほどにBUMPが浸透しているためになかなか改めてどうこう言うのは難しい。けどいわゆるJロックである。疾走感のあるギターサウンドやしっとりしたアコギサウンドに乗せて誰もがわかる日本語で誰もがわかる感情をなかなかしない言葉の組み合わせで歌っている。この芸当が藤原にしかできないといわれているわけだ。
売れかた
ポケモンに熱中した世代ならだれもが一応は口ずさめるであろう天体観測。これで大ブレイクする。2001年の事である。その際にうたばんに出演するもあまりのコミュ障度合いにその後のテレビ出演はなく、先月Mステに出演するまで地上波には出演しなかった。これが例のロキノン系のスタンダードな売り方として定着することとなる(もしかしたら定着していたのを結果として踏襲しただけかも)。BUMP界隈ではボーカル藤原のブラウン管を通して評価されたくない発言はあまりにも有名。当時は演奏あまりうまくない時期だというのに。大言壮語である。
そこで本題
BUMPは今まで7枚のアルバムを出している。もちろんそれぞれにそれぞれの良さがある。ただこの四枚目、ユグドラシルはすごい。破竹。捨て曲が本当にない。箸休められない。全部フルスイング。全部ホームラン。藤原のメロディーセンスのピークと言葉選びのピークが同時にやってきちゃった感が楽しめる作品に仕上がっている。
御託は良しとして、曲解説をしてみる。
1 asgard
BUMP OF CHICKEN 「asgard 」 - YouTube
2 オンリーロンリーグローリー
ロンリー グローリー 最果てから声がする
選ばれなかった名前を 呼び続けてる光がある
オンリー グローリー 君だけが貰うトロフィー
特別じゃないその手が 触る事を許された光
3 乗車券
4 ギルド
人間という仕事を与えられてどれくらいだふさわしいだけの給料もらった気は少しもしない
その場しのぎで笑って 鏡の前で泣いて当たり前だろう隠しているから気づかれないんだよ夜と朝をなぞるだけのまともな日常
5 embrace
6 sailing day
どうにかまだ 僕は僕を 辞めないで生きている
たった一度 笑えるなら 何度でも 泣いたっていいや
精一杯 運命に抵抗
正解・不正解の判断
自分だけに許された権利
7 同じドアをくぐれたら
振り返らないで 悔やまないで
怖がらないで どうか元気で
僕は唄うよ歩きながら いつまで君に届くかな
その涙と引き換えに その記憶と引き換えに
この歌と引き換えにして 僕らは行ける
8 車輪の唄
同じドアがやっと終わったと思ったら始まるスーパー爽やか純愛ソング~遠距離恋愛するのかな~
お別れの日の恋人同士の歌。駅まで自転車で送る彼氏、その後ろで二人乗りをする彼女。とんでもなく甘酸っぱい恋模様が展開される。藤原基央の脳内ワールドのピュアさにひたすら感服するばかりである。
歌詞には伏線がいくつか含まれているので自分で検索してみることをおすすめ。
錆びついた車輪 悲鳴を上げ
僕らの体を運んでいく 明け方の駅へと
しかし冒頭の錆びついた車輪が悲鳴を上げる部分は汎用性のある歌詞なので覚えておいて損はない。これで色々なものが悲鳴をあげられることを知った中高生も多いことだろう。
何はともあれこの曲もBUMPの中では非常に人気の曲。そのためカラオケでは距離を測るジャブ的な使用ができる。もとはユグドラシルの中のしがない一曲だったのが人気に火が付き、後にシングルカットされた。
BUMP OF CHICKEN『車輪の唄』 - YouTube
9 スノースマイル
牧歌的なアルペジオから始まるスーパー下心満載ソング~俺のポッケ空いてます~
ユグドラシルが発売される遥か前にシングルカットされている曲。BUMP史上屈指のバラードとして今もなお君臨する名曲。
冬が寒くって本当に良かった
君の冷えた左手を
僕の右ポケットにお招きする為の
この上ない程の理由になるから
これが歌い出しだ。良質のメロディーに包みこまれて気が付かないが男のしたたかさというものを存分に表してくれている。天才の所業である。
車輪の唄とは対照的にラブラブバカップルの様子を描写しているかと思いきやそんなことはない。曲の最後にきちんと美しい暗雲が立ち込める。
聴いてみたらわかる。
10 レム
藤原がこっそりレコーディングしてたのをアルバムに入れちゃった曲。聴いてみるとなるほど納得、同じドアをくぐれたらどころじゃないぼっそぼそのつぶやき。ツイートソングである。でも大好き。
与えられた餌の味
解らないけど先ず批評
美味い・不味いの基準は
隠れて読んだ週刊誌
冷めたふりがしたいなら
もう少し賢くやれ
今更何を恐がる
嘘を嘘と思わずに
人を人と思わずに
言葉の節々の棘が妙に心地よい一曲。聴くと世の中全部を見下せるような気がする。
BUMP OF CHICKEN レム 歌詞付き - YouTube
11 fire sign
イントロからメロディーからサビから全く嫌みのない曲。同じドアがスルメならfire signはマグロ。とろ。
藤原が増川の誕生日に贈った曲で、これまでBUMPの曲に出てきた物語の登場人物が歌詞中に出演している。でもそんな情報どうでもいい。メロディーが何より心地よい。一目惚れソングである。よって語れることは少ない。
動画貼れなかった。
後日再挑戦。
12 太陽
初めて聴いたときには壊れかけのドアノブの事しか頭に残らないであろう一曲。聴き込んでいくとなんとなく超インキャラの人が立ち直っていく様のようにも聴こえてみたりするものの、やっぱり行きつく先はドアノブである。
この際解釈なんてどうでもいいのだ。そんなもん誰かが勝手にしてくれるわけで、我々はこのひどくアンニュイなギターに酔っていればそれでいいのだ。
そして何よりのこの曲の価値は、
暖かくて寒気がした
という絶品フレーズある。川端康成の発明した悲しいほど美しい以来の言葉の大発見だと思う。
Bump Of Chicken - 太陽 - YouTube
13 ロストマン
本編最後となる曲。桜井和寿が大絶賛したことでBUMPファンのBUMPへの信仰がますます高まった曲でもある。
これを聴くとしんみりあーがんばろってなれる。オンリーロンリーグローリーやsailing dayとは違う背中の押され方をする曲だ。なんでなんだろーなーっていろいろ考えるのが好きで答えは出せずじまいである。思い出とか過去との決別のようなエッセンスが散りばめられているのが効用になっているような気がするような気がする。
二番目のサビ終了後からのちょっとした間奏兼ギターソロ→Cメロの流れが完璧。鳥肌。
14 midgard
エンディング。asgardと同じ、たった30秒ほどの藤原によるガットギターのソロ。どうやらasgardとは別録でとっているらしいのだがそんな違いは分からん。同じ。
この曲によって全体がコンセプトアルバム的な雰囲気を醸し出す。そうしてBUMP教徒たちの熱狂的で猜疑的な深読み合戦がアルバムの幕切れと共に幕を開けることになるのである。
BUMP OF CHICKEN 「midgard 」 - YouTube
終わった。
やりきった。昨日の記事ぶっ飛びインシデントを乗り越え、せっせかとキーボードを打ち続けてよかった。
正直これを見た人がBUMPに、ユグドラシルに興味を持って云々とかってことはあまり考えてはいない。ヒトカラに行ったときにこのアルバムを曲順通りに全部歌いきるまで帰れまテン(所要時間一時間)を月2くらいでやるパッションをどうにかして表現してやろうと思った結果のこれだから、別に人の目に触れようが触れまいがどうでもいいのである。
とか言って目に触れたらスゲー嬉しい。まじで。
隠しトラック O・TO・GA・MEはーと
BUMPの恒例行事最終トラックが終わって15分くらいあけると突如流れ出す隠しトラック。本作ではベース直井がDJを務めるラジオ番組に出演した激シブBOYSの大ヒット曲O・TO・GA・MEはーとが収録されている。全部作っているのはメンバーである。
別に聴いても聴かなくてもいいと思う。聴いても聴かなくても感情の動きはない。微動だにしない。きっと。でも気になって聴いちゃう。好きだから。