徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

異動になりました。

異動になりました。部署は変わらず、課が変わる程度の異動ですが、やはり不安8割と期待2割が鳴門海峡のごとく渦巻いております。

改めてだが、ごく微細な異動である。北見市芳町から北見市大町に引っ越す程度の異動だと思ってくれていい。誰もわからないだろうが。ミニマムな異動だとしても、異動は異動である。見知らぬ人、見知らぬ業務とこんにちはをする。

我が社は3月が異動の時期なので、同期含め先輩から何から何まで、嬉し恥ずかし悲し情けなしの大席替え大会が行われていくわけである。露骨な異動が盛りだくさんで、ゾクゾクとヒヤヒヤが止まらない。昇進、就任、昇格、栄転、栄進以外の横並びの異動は大抵が歯を食いしばらざるを得ないものだらけで、誰が得をしているやらわからないシャッフルが横行している。

僕も晴れてその片棒の片棒の片棒を担いだのだが、やはり不安だ。予習のしようのないテストを受ける不安に近い。抜きうちテストである。素養が試されているようで恐怖でしかない。そしてその恐怖が社内に跋扈している事実。喧々囂々。

同じ境遇の方と本日お話しする機会をいただいたのだが、僕らは強気な言葉と弱気な言葉を発作のように呟き続けた。さながら躁と鬱がシャトルランをしているがごとく、思いの丈を訥々と唱えた。手を替え品を替え、我が身を悲観しながら相手を励まし、自分を励ましながら相手の身を憂う。傷つけ合いながら傷を舐め合うネコ科の何某のようであった。

不安なのだ。

鼓舞しきる力もなければ、いじめ抜く覚悟もない。待ち受ける前途に漠然とした不安を抱き、抽象的な打開策にすがる。なんで弱い人間だろうか。僕なんかはほんの少し動く程度のそれだが、大陸が動くレベルの異動を迫られる人の覚悟たるや、想像を絶する。そこまで行くと腹をくくれるのかもしれないな。

君なら大丈夫。あなたなら大丈夫。彼なら、彼女なら、誰なら。何を根拠としているかわからない限定的な「大丈夫」。競馬が当たるよりも難しい力学が働いている気がしてならないが、言わざるを得ない。自分も大丈夫と信じたいから。君にあなたに彼に彼女に幸を祈りながら、自分に幸が訪れることを願ってやまないから。どこまでも淺ましい人間。でもそれが人間。情けないかな、自分可愛さに皆に愛想を振りまく日々である。それはそれかと思いながら、一からの関係と一からの愛想をファブする。

3月から頑張る。つまりは、そういうことである。