白井健三。ひねり王子と呼ばれ、押しも押されぬスーパーな体操選手である。彼の空中のめちゃくちゃな動きに日本がざわめく。あの回転、すげー難しいんだろう。想像に難くない。
あれに日本が湧くのは何故か。それは着地しているからだ。
人生もキリモミ回転だ。ぐるんぐるん回りながら落ちて行く。度々踊り場に出会い、仮着地をしながら死ぬまで落ちていく。度々の踊り場でそこそこの着地を見せられれば、それまでのキリモミ回転は幸せだ。ファインプレーになる。さりげなく大転倒していても、立て直して今平然としているのであればそれもよし。
たかだかこれまでの人生だが、同年代でもいろんな回転をして今に至っている。面白い回転の仕方をして、怪我しながらでも元気に今もなお落っこちている人は面白い。魅力的だ。なんとなく、この人の人生には勝てないと察する。
悲しみの果てに何があるかなんて僕は知らない 見たこともない
エレファントカシマシが歌う。悲しみの果ての着地は面白さを生む。教えてあげたい。