大盛り無料なら大盛りにするし、おかわり自由ならおかわりをする。ビュッフェでは全種類の食べ物を食べてやりたいと心から思うし、飲み放題だと泥酔してやると気合をいれる。そんな人間である。浅ましいと思うなら思うがいい。一生懸命生きているのである。
中華料理店の定食をイメージしてほしい。
ご飯に中華スープ、ザーサイ、メインのお皿。全部揃って700円。ランチタイムじゃなくても定食提供するよ!
そんな店が多い。
で、だいたい決まってご飯がおかわり自由。
ご飯が、おかわり自由。
そういったわけで、中華料理店に入って定食を頼むと高確率でおかわりをする。おかずを減らすスピードをうまく調整しながら、ご飯2膳は食べる。
今日、出先で中華料理店に入った。
16時過ぎの遅い昼食。ランチをやっている店はなく、チェーン店に入るのも面白くないから…と入ったのが駅前の中華料理屋。定食色々700円均一で提供されていた。普段は弁当を持っているのでアレなのだが、本日は予定過密により弁当を持っておらず、当然のように中華料理屋に吸い込まれていった。
キクラゲと卵と豚肉炒め定食。
あの、中華料理屋によくある「〇〇炒め定食」のオンパレードの中から、自分じゃ絶対使わないキクラゲを使ってくれている定食を選んだ。栄養摂取。
定食500円台の価格設定をしている中華料理屋も少なくない中、700円という現実的な値段設定の定食。きちんと美味しかった。化学調味料どーん!って感じの味ではなく、ちゃんとオイスターソース使って炒めました感のある丁寧な味だった。
もりもり食べていた。
店内は空いており、カウンターの三つ隣辺りにサラリーマンが一人いた。
彼がおかわりをした。お茶碗をクイッと上にあげるジェスチャーでスマートにおかわりを決める。常連かのような洗練された所作。
僕は思う。ここはおかわり自由の店なんだ。この人はその仕組みを知っているんだ。
順調に配分通り、半分を残してご飯1膳目を終えた。
お茶碗クイッ!
すると店員さんがやってきて、すっとお茶碗をとっていく。
ついでに伝票もとっていく。
伝票…伝票?
何事もなくおかわりが運ばれてきたのと一緒に、伝票も付いてきた。
ライス200円
震えた。おかわりじゃなかった。僕はキメキメのお茶碗クイッにて、単品のライスを注文していたらしい。全くもっておかわりに対応していないお店であった。
メニューを見ると、半炒飯も200円。餃子も200円。
そっちの方が良かったじゃん…なんで白米頼んだねんな…
猛烈な後悔を抱きながらかきこむキクラゲ、飲み込む豚肉。
例の小慣れたサラリーマンが席を立ち会計に向かったため、耳をそばだてた。彼も取られているんだろうか。彼もクイッでライスを注文していたのだろうか。
ライス200円〜
ライスだった。まごうことなきライスを注文していた。
僕もやっちゃったよ!君につられてやっちゃったよ!
700円の定食が思わぬところで900円定食に変貌したのであった。クイッの手前クーリングオフもする気が起きなかった。
教訓として、おかわり前に自由なのか確認する。周りの空気に流されない。
以上を学んだ、貴重なランチタイムであった。