徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

負けるな父ちゃん

うちの父ちゃんがインフルエンザになったという。今朝ほど母から連絡があった。

B型。38度まで行かないくらいの熱がじわじわ続いているらしい。だいぶ弱っていると聞かされて電話を代わった父ちゃんの声は確かに弱っていた。熱と節々の痛みで寝られていないらしい。苦しいね。そうだよね。

65歳。豊臣秀吉がカッピカピに干からびて死んだのが61歳なのを考えると、まずまずな年齢なことは確かだろう。何しろ不整脈持ちの親父である。疲れからの心房細動からの血栓できてどっか血管詰まるみたいな恐怖の役満が決まらないように息子としては願うばかりだ。

しかし、概ね安心している。

何しろうちの父ちゃんは若い。自営業の徳だろうか。ジーパンやチノパンで出歩く姿はよもや65のそれとは思えない。うちの会社で二度目の定年を迎えんとする65歳の方々とは比べ物にならない若さだ。やはり歯車の一つになってしまうのと、零細企業だとしてもエンジンでいるのとでは張りも違うのだろう。私服の雰囲気にも助けられてるかもしれないけれど。メッキでできた若さかもしれないけど、息子としては嬉しく思う。安心にも繋がる。

あと、何しろ母ちゃんがいる。

あなた方夫婦を見ていると息子ながら安心する。夫婦であり、自営業の経営者と同社のパートさん。仕事でも家でも四六時中一緒にいてよくもまあ疲れないものだ。お互いに人間がよく育っているのだろう。気のおけない仲が夫婦で確立できるのは羨ましい。お互いにスポーツが好きで、大谷の活躍に一喜一憂する。日ハムの開幕3連敗にもさぞやきもきしていたことだろう。テニスが始まれば大坂なおみに同じ視線を向けて、錦織圭の怪我の具合を心配する。仲がいいのだ。どっちかが倒れたらきっと助け合いながらやっていくに決まっている。

その昔、母ちゃんが全身蕁麻疹になって寝込んだ時、無性にカッパ巻きが食べたいと言った。父ちゃんはそれを聞いて、僕を連れて回転寿司屋さんのオードブルを買いに行った。当時は食べたいものを買ってきて食べさせてやることになんの不思議も感じなかったけど、大人になってみて、いろいろな夫婦がある事を知った。一人の人を思いやり続けることの難しさも知った。持ちつ持たれつやっていき続ける二人はすごい。

あのカッパ巻きの分はとっくに減価償却されてしまっているだろうけど、きっと今回は母ちゃんが父ちゃんにカッパ巻きを買ってくる番だ。日々に埋もれる無償のギブアンドテイクの一幕として。

 

体調不良になると健康・平穏がどれだけ貴重なことか痛感するからたまにはいいと思って、盛大に苦しむのも一興かもしれないね。ばあちゃんも天国で無病息災元気はつらつを願ってるよ、きっと。

東京より、エールを送ります。