徒然雑草

踏みつけられるほどに育つ

ブラキャミ春樹

ブラキャミ春樹ってめっちゃフェミニンだなーって一人でしばらく笑ってたのは今朝方のことですが、「ねじまき鳥クロニクル」をちょっと前に読み終えました。

 

ねじまき鳥クロニクル 全3巻セット

ねじまき鳥クロニクル 全3巻セット

 

 

三巻構成。ブラキャミの…いや、村上のやる気と若さが感じられる作品だった。僕にとっては「納屋を焼く」と「ノルウェイの森」後、三作目の村上作品である。「風の歌を聴け」もその昔にちょこっと読んだんだけど、見事にくたびれてフィニッシュできなかったのは苦い思い出だ。

本作に関しては、他の村上作品より大変読みやすかったように思う。村上春樹というより、それこそブラキャミ春樹くらいのカジュアルさを感じた。

 

長い物語の筋はなんだったろうか。

浅く浅く単純に見れば、主人公の岡田トオルが妻のクミコを取り戻すための物語なのだけれど、過去と現在、現実と精神世界、敵と味方が毛細血管のごとく交錯して大長編を成している。何周も読んで、やっと全貌が見えるようなお話だろう。真剣に相対するには時間が足りない。多分検索したら無限に考察が転がっているから、時間があるときにでも読もうと思う。


物語もそこそこ、僕が読後に感じたのは何と言っても「冗長」であった。ある意味で小説なんてものは全て冗長とも言えるだろうし、特に村上春樹は冗長性が高い作家であるらしいことは聞いていたが、間違いなかった。それこそ、「やれやれ、と僕は思った。」である。本当にどうでもいいようなことで延々冗長な描写が続いて、こんなもんかブラキャミ春樹!とタカをくくった頃に、間宮中尉が遭遇した井戸の中での描写のような日本語の極致レベルの描写がやってくる。緩急が激しいったらない。

冗長に見える言葉の弾幕のオブラートを剥いだとしても、まだ本質にはたどり着かない。メタファーが待ち構えている。これを解釈してこその村上作品なのだろうが、鬼のごとく時間が足りないのは先述。もしかすると僕が冗長だと捉えている部分はただ理解が足りていないだけで、実は物語に不可欠な要素だった…とかって話も考えられる。解釈したもん勝ちだ。


どうしても眠くなってきたんで、僕は僕の井戸に潜ろうと思う。

さらば浮世。