ついこの間、川崎にふらっと行った際、BEYOOOOONDSのリリイベかなんかが行われていた。前をたまたま通りすがり、「ビヨーンズて。ビヨーンズって…」と半ば一笑に付したのだが、のちにハロプロのユニットだとわかり、試しに聞いてみたら一筆認めたくなって今ここにある。もう仕事行かなきゃならないのに。
デビューシングルがトリプルA面らしい。レコードもCDも消え失せかけている今、トリプルA面なぞ言う概念もへったくれもなくなりつつあるが、体裁としてはトリプルA面。
その中の一曲が『ニッポンノD・N・A!』
これを聞いた時、胸に去来したのは、往年の名曲『LOVEマシーン』だった。
日本の未来。日本人の行く先。
この20年でこれほどまでに変わったかと、思う。
日本の未来は
世界がうらやむ
恋をしようじゃないか
とは、LOVEマシーンの一節だ。
「世界がうらやむ」は「日本の未来」を修飾しているのか、「恋」を修飾しているのか。「明るい未来に就職希望」からして、「世界がうらやむ日本の未来」だろうか。1999年。失われた20年が始まった頃。当時の世情をリアルタイムで感じるほど僕は大人ではなかったが、「世界が羨む未来」を見据え恋をするほどに日本の未来は明るかったらしい。
それから20年。
『ニッポンノD・N・A!』の論旨は、「日本人最近頑張れてなくない?奮いたてよ!DNAには刻まれてるだろ!もっと元気出して頑張っていこう!」みたいなそれである。
そんなジャパニーズの今と未来
このままで良いの?
はみ出す事を恐るあまり
流されてく流浪の民
取り残されてっぞ最後方
目を覚ませ DNA
日本が世界から立ち遅れているといった事が共通認識として曲の中にある。それは、周囲を気にして、足並みをそろえているからなんじゃないか。DNAを呼び覚ませ。目を覚ませ。
そして、私たち若者がやるのだ。
令和に生きる新風世代
凛として光放て
独創力 まさに最高峰
ニッポンノD・N・A!
奮い立たせ方の是非はあるだろう。
曲中で挙げられている、電話しながらお辞儀をしたり、コンビニで整列したりすることが直接、日本の競争力が落ちている原因かといえば違う。労働集約型産業に限界が来ていることがそもそもである。そうした文化の中で育まれた習慣に矛先を向けても…と思う。
さらに言ってしまえば、日本のDNAなんてこと言っている場合じゃない。スポーツ界を見渡せば、古くは室伏広治、今はサニブラウンや八村塁。日本に根ざした外国の血がわんさか世界で活躍している。多様な民族が交差するような文化が日本に浸透した時、何をもって日本人とするのだろうか。
それが、文化だと思う。
礼儀とかお辞儀とか、コンビニで並ぶとか、本音と建前使い分けるとか、美しくも仄暗くもある日本の文化こそ、日本人らしさとなり得る。仮に労働集約型産業の名残だとしても、それが日本なのだ仕方ない。
とかそういうの全部放っておいたとしても、日本、変わったんですね。アイドルの曲を聴く層も変わったのでしょう。少年少女が日本の未来はウォウウォウしてた時代から、おじちゃんやお兄ちゃんやお姉ちゃんがサイリウムを持ってニッポンノDNAと叫ぶ時代に。だからこそ、奮い立たせているのでしょう。
さて、今日も。