ミンティアって、あるじゃない。
アサヒグループ食品 ミンティア ワイルド&クール 50粒×10個
- 出版社/メーカー: アサヒグループ食品
- 発売日: 2014/03/03
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何気なく電車の中の広告に目をやると、爽やかさを両手に掲げてミンティアが私を見ろと言っていた。白と青。清涼感溢るる色彩をバックに、綾野剛が階段を駆け上がっているシーンが写真で切り取られていた。その横に一言。
「寝坊は、あきらめなければ運動になる。」
なるほどなぁ。確かにそうだなぁ。寝坊したら駅まで走るなぁ。構内でも走るなぁ。運動に、なるなぁ。
さも盲点を突いたかのようなコピーだ。印象に残るコピーだ。このコピーは実際のところ何を言っているのだろう。何を表しているのだろう。
「寝坊は、あきらめなければ運動になる。」
文を噛み砕くと、「AはBしなければCになる」だ。これは暗に「Aは普通にしていればDである」だが、「BしなければCになる」ことを意味している。よく考えてみてほしい。あたりまえである。
いくらなんでも、既定路線を飛び越えたABCは成立しない。
「ジョンレノンはメガネをとるとオノヨーコになる。」
これはならない。まずならない。
だがしかし、
「洗い物は片付けないと邪魔になる。」
これはどうだろう。ふーん、そう。邪魔だよね。あらかたそんな感想しか出てこないのではないか。
違う。大ヒット商品ミンティアのコピーに選ばれるコピーはただのコピーではない。このコピーの秀逸さは、「AはBしなければCになる。」の構図を日常によくあるシーンに落とし込み、「Aは普通にしていればDであるシーンとの落差をはっきり示している点と、もうちょっと心持ちを変えればほんの少し上の結果がもたらされる事象にフォーカスしている点。この2点に秀逸さが凝縮されていると思う。
例えばこんな文。
「雪かきは真剣にやれば筋トレになる。」
を考えてみたい。「雪かきは普通にしていれば面倒臭い。」のだが、そこを「真剣にやる」と心を入れ替えることによって「筋トレ」にすることができる。Bを媒介してのCと、Bを媒介させなかった時のD。この差が著しい。
文章を成立させる上でのキーマン「B」。ミンティアが何を言いたいかと言えば、Bの瞬間に、ミンティアを寄り添わせてほしいということだろう。「寝坊は、あきらめなければ運動になる。」の、「あきらめなければ」であり、「雪かきは真剣にやれば筋トレになる。」の、「真剣にやれば」。気持ち次第だが、気持ちを入れるのは至難の技だ。だらけようと思えばいくらでもだらけられるし、諦める方がたやすい。でも、そこで歯を食い縛るきっかけがミンティアであってほしい。「あきらめない」きっかけが、ミンティアであってほしい。そう思っているのだ。アサヒグループは。
「寝坊は、あきらめなければ運動になる。」